抄録
門脈圧亢進症の結果として惹起される脾腫大は脾機能亢進症による汎血球減少や脾循環亢進状態をもたらすのみならず,肝病変の増悪・進展とも関連することが明らかになりつつある.部分的脾動脈塞栓術(PSE)は脾の生理的機能を温存しながら脾腫大による脾機能亢進症や肝脾相関の不均衡を是正しうる治療手段として門脈圧亢進症患者に広く行われているが,十分検討されていない課題も多く残されている.その1つに肝不全進行例に対するPSEの問題があり,その有効性とともに安全性についての検討が必要である.本稿では肝不全進行例に対するPSEの有効性と問題点について我々の経験をふまえて述べる.