日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
ダナパロイドナトリウムにより門脈血栓の改善を認めた1例
福田 亘森 敬弘光本 保英廣瀬 亮平内藤 達志南 竜城森本 泰隆清水 香代子伊藤 正清水 誠治本庶 元水野 成人
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2010 年 16 巻 4 号 p. 193-198

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抄録
症例は80歳代女性.肝硬変で通院中であったが,平成21年1月急激な腹部膨満感,体重増加を認め当院受診.腹部超音波,CTにて多量の腹水と上腸間膜静脈から門脈本幹・右枝に血栓形成を認めたため当科入院となった.血液検査ではFDP,Dダイマーの上昇があり,門脈血栓症と診断しダナパロイドナトリウム投与を開始した.治療開始2週間後には門脈血栓の改善を認めたためアスピリンで維持療法を行ったが,維持療法開始2週間後門脈本幹に血栓の再発を認め,再度ダナパロイドナトリウムを投与した.その後再び門脈血栓は改善し,ワーファリンで維持療法を行ったところ現在まで再発を認めていない.門脈血栓症の治療にダナパロイドナトリウムの有効性が報告されているが,その後の維持療法は定まっていない.本症例の経過はダナパロイドナトリウムの有効性とその後の維持療法を検討する上で参考になる症例と考えられた.
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© 2010 日本門脈圧亢進症学会
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