日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
部分的脾動脈塞栓術により貧血が改善した門脈圧亢進症性十二指腸症の1例
廣岡 昌史越智 裕紀小泉 洋平川崎 敬太郎布井 弘明徳本 良雄阿部 雅則池田 宜央田中 宏明日浅 陽一恩地 森一
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2013 年 19 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

症例は66歳,女性.非アルコール性脂肪肝炎(non alcoholic steatohepatitis;NASH)による肝硬変があり門脈圧亢進症をきたしていた.2005年10月より食道静脈瘤,前庭部びまん性毛細血管拡張(gastric antral vascular ectasia:GAVE),門脈圧亢進症性十二指腸症(portal hypertensive duodenopathy:PHD)があり著明な貧血があった.内視鏡的静脈瘤硬化療法(endoscopic injection sclerotherapy:EIS)とGAVEに対するアルゴンプラズマ凝固止血法(argon plasma coagulation:APC)を繰り返されていたが,PHDは改善しないため貧血は一時改善するもすぐに悪化していた.2009年1月に貧血が再度増悪した.PHDに対して門脈圧亢進症の改善を目的に部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)を施行.GAVEにもAPCを加え貧血は著明に改善した.PHDへのPSEの報告はまれで貴重な症例と考えられた.

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© 2013 日本門脈圧亢進症学会
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