抄録
血小板減少を伴う肝細胞癌に対し,部分的脾動脈塞栓術(Partial splenic arterial embolization: PSE)と肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization: TACE)を同時施行した症例の検討を行った.対象は血小板減少を伴う肝細胞癌症例に対し,TACEと同時にPSEを施行した術前血小板数5万/μl以下の23症例である.平均脾梗塞率は55.19%であり,術前平均血小板値は4.41万/μlで,術後平均血小板値は7.58万/μlに上昇した.血小板の上昇により,RFAを含めた穿刺治療は可能となった.血小板減少のためにTACE,RFAが困難な進行肝細胞癌症例に対し,PSEを同時併用することで,血小板を増加させ,治療を継続することができ,集学的治療の一環としてのPSEの有用性が示唆された.