日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
内視鏡的硬化療法が有用であった胃全摘後に生じた空腸静脈瘤破裂の2例
中澤 学今井 幸紀塩川 慶典内田 義人藤井 庸平繁田 貴博打矢 紘平原 和紀近山 琢渡邊 一弘安藤 さつき水野 芳枝吉野 廉子菅原 通子濱岡 和宏本谷 大介稲生 実枝中山 伸朗岡 政志持田 智
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2013 年 19 巻 4 号 p. 182-186

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抄録
胃全摘後の空腸静脈瘤が破裂し,その治療にEISが有効であった2症例を報告する.第1例はアルコール性肝硬変の67歳,男性.13年前に胃癌で胃を全摘し,Roux-en-Y法で再建した.吐血で搬送され,食道から空腸に連続する静脈瘤を認め,空腸部位にフィブリン栓が観察された.食道静脈瘤からEISを実施し,その際には空腸壁に沿った供血路が描出された.3か月後の内視鏡検査では静脈瘤は消失していた.第2例はC型肝硬変の62歳,男性.10年前に同様に胃癌で胃全摘術を施行.吐血で搬送され,吻合部空腸側からの出血が観察された.F2の食道および空腸静脈瘤を認めたが,明らかな出血源は同定できず,それぞれの静脈瘤にEVLを施行した.CTで静脈瘤の供血路を確認後,残存する空腸静脈瘤にEISを施行した.4か月後の内視鏡検査では静脈瘤は消失していた.胃全摘後の空腸静脈瘤破裂例では,EISによって供血路まで塞栓することで,静脈瘤の消失が得られると考えられた.
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© 2013 日本門脈圧亢進症学会
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