門脈圧亢進症では全身循環亢進状態となり,心係数(CI)の増加,全身血管抵抗係数(SVRI)の減少,動静脈血酸素含量較差(Ca-vO
2)の狭小化を来す.CIはChild-Pugh scoreと正の相関を示し,プロトロンビン時間(PT),ヘパプラスチンテスト(HPT)と負の相関を示した.SVRIはアルブミン(Alb),PTやHPTと正の相関を示し,ICG
15やアンモニア(NH
3)と負の相関を示した.非高血圧性/高血圧性肝硬変症(LC)のSVRI(dynes・sec・cm
-5/m
2)は1653±475/2162±603 (
p<0.01),Ca-vO
2 (vol%)は2.8±0.9/3.1±1.0 (
p<0.05),全身血管コンプライアンス(AC)(ml/mmHg)は1.3±0.5/0.9±0.3(
p<0.01)であった.高血圧性LCは高齢で,HCV陽性例が多く,肝機能の保たれている症例が多く,全身血行動態的には循環亢進状態が減弱した状態となっている.高血圧性LCにおける薬物療法開始時にはこの複雑化した病態を考慮することが肝要である.
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