2014 年 20 巻 1 号 p. 16-18
脾摘および脾機能低下症例は肺炎球菌やインフルエンザ菌を中心とした莢膜保有菌により重症感染症に罹患しやすく終生,脾摘後重症感染症overwhelming postsplenectomy infection(OPSI)に罹患する可能性がある.特に,脾機能低下症例やPSE症例で末梢血にHowell Jolly bodyの出現した症例は脾機能低下からOPSIになる可能性があり,脾摘と同様のOPSIに対する対応をすべきである.本症に対する対策として重要なのが発症早期における治療である.早期治療を行う上で現状において最も不足している要素が医療,患者両方の教育および啓蒙という点である.初診にあたると思われる開業医や救急病院医師が本病態に対して認識を深めることが大切である.医療側の自覚のみならず,患者側にも十分な情報が行き届くように患者用情報資料や携帯用の警告提示物(ブレスレット,ペンダント)の作成なども考慮すべきである.