日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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ISSN-L : 1344-8447
20 巻, 1 号
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Editorial
総説
  • 橋本 直樹
    2014 年20 巻1 号 p. 16-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー
    脾摘および脾機能低下症例は肺炎球菌やインフルエンザ菌を中心とした莢膜保有菌により重症感染症に罹患しやすく終生,脾摘後重症感染症overwhelming postsplenectomy infection(OPSI)に罹患する可能性がある.特に,脾機能低下症例やPSE症例で末梢血にHowell Jolly bodyの出現した症例は脾機能低下からOPSIになる可能性があり,脾摘と同様のOPSIに対する対応をすべきである.本症に対する対策として重要なのが発症早期における治療である.早期治療を行う上で現状において最も不足している要素が医療,患者両方の教育および啓蒙という点である.初診にあたると思われる開業医や救急病院医師が本病態に対して認識を深めることが大切である.医療側の自覚のみならず,患者側にも十分な情報が行き届くように患者用情報資料や携帯用の警告提示物(ブレスレット,ペンダント)の作成なども考慮すべきである.
  • 門多 由恵, 八木 洋, 河地 茂行, 小野 嘉大, 日比 泰造, 阿部 雄太, 北郷 実, 篠田 昌宏, 尾原 秀明, 板野 理, 田邉 ...
    2014 年20 巻1 号 p. 19-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー
    過小グラフトを用いた肝移植は, 相対的な門脈圧亢進による様々な病態を呈し最終的に肝不全に至る危険性を秘めており, 適切な門脈血流/門脈圧の維持とドナー年齢等を考慮したグラフトの選択が重要とされる. 当施設では2013年4月までに施行した生体肝移植203例のうち過小グラフトを用いた37例において, 30歳未満の若年ドナーグラフト17例の5年生存率が82%と, 30歳以上で60%であったことと比較して良好であることを示した. また, 加齢と肝再生に着目して解析を加えたところ, 若年ドナー肝における早期の肝肥大率が高齢ドナー肝と比較して有意に高く, Thy-1陽性肝前駆細胞の割合が加齢と共に減少することが示された. 現在我々は肝再生医療の実現化を目指し, 脱細胞化骨格を基盤とした研究を進めている. 本研究成果が, 過小グラフトの背景にある世界的なドナー不足を含めた臓器移植の様々な問題解決に寄与することが期待される.
臨床研究
  • 川中 博文, 赤星 朋比古, 金城 直, 吉田 大輔, 橋本 直隆, 上原 英雄, 松本 佳大, 吉屋 匠平, 別城 悠樹, 伊藤 心二, ...
    2014 年20 巻1 号 p. 24-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー
    肝硬変症における脾摘術前後の門脈血行動態の変化について検討した. 腹腔鏡下脾摘術前後で超音波ドプラにて門脈血行動態を評価した肝硬変57例(男/女=29/28, 57.5歳, Child-Pugh A/B/C=19/29/9)を対象とし, 術前・術後7─10日目に超音波ドプラや肝静脈カテーテル検査による門脈血行動態, および末梢血・肝静脈血中endothelin-1(ET-1), NOXについて評価した. 摘脾により, 門脈血流速度は変化しなかったが, 断面積は0.83→0.62(cm2), 血流量は699→575(ml/min)と有意に低下し, うっ血係数も0.057→0.044(cm・s)と有意に低下した. 肝静脈圧較差は23.9→17.2(cmH2O)と有意に低下し, 肝内門脈血管抵抗も0.033→0.026(cmH2O/ml/min)と有意に低下した. 摘脾により, ET-1値は末梢血で2.95→2.11(pg/ml), 肝静脈血でも2.37→1.83(pg/ml)と有意に減少した. NOX値は末梢血で29.2→25.0(pg/ml)と低下傾向を示し, 肝静脈血では24.5→30.9(pg/ml)と増加傾向を示した. 以上より, 肝硬変の門脈血行動態において, 脾腫は門脈流入血流増大だけでなく, ET-1やNOを介して肝内門脈血管抵抗増大にも関与している可能性があると考えられた.
テクニカルレポート
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