日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
過小グラフトとドナー年齢 : 基礎研究を踏まえた新たな治療モダリティの検討
門多 由恵八木 洋河地 茂行小野 嘉大日比 泰造阿部 雄太北郷 実篠田 昌宏尾原 秀明板野 理田邉 稔島津 元秀北川 雄光
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2014 年 20 巻 1 号 p. 19-23

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抄録
過小グラフトを用いた肝移植は, 相対的な門脈圧亢進による様々な病態を呈し最終的に肝不全に至る危険性を秘めており, 適切な門脈血流/門脈圧の維持とドナー年齢等を考慮したグラフトの選択が重要とされる. 当施設では2013年4月までに施行した生体肝移植203例のうち過小グラフトを用いた37例において, 30歳未満の若年ドナーグラフト17例の5年生存率が82%と, 30歳以上で60%であったことと比較して良好であることを示した. また, 加齢と肝再生に着目して解析を加えたところ, 若年ドナー肝における早期の肝肥大率が高齢ドナー肝と比較して有意に高く, Thy-1陽性肝前駆細胞の割合が加齢と共に減少することが示された. 現在我々は肝再生医療の実現化を目指し, 脱細胞化骨格を基盤とした研究を進めている. 本研究成果が, 過小グラフトの背景にある世界的なドナー不足を含めた臓器移植の様々な問題解決に寄与することが期待される.
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© 2014 日本門脈圧亢進症学会
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