日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
用手的脾静脈圧迫が門脈血流改変術の血流動態予測を可能にした1例
中野 弘康高塚 健太郎吉松 英輝藤川 智章清水 弘仁松井 圭司種村 宏之中崎 晴弘松永 光太郎岩渕 省吾
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2015 年 21 巻 2 号 p. 148-154

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抄録
症例は69歳,男性.10年来C型肝炎を指摘され,軽度の両下腿浮腫を認めていた.2013年2月浮腫が増悪し近医にて肝硬変を指摘され紹介された.脾門部近傍に拡張蛇行した巨大な脾腎シャントの形成を認めた.門脈血流超音波検査(ドプラ)にて門脈本幹は求肝性であったが,脾静脈は遠肝性で,今後肝萎縮の進行ないしシャント起因脳症の予防に治療介入を要すると判断した.用手的に体表から脾静脈を圧迫し門脈血流の変化を観察したところ,門脈本幹と肝内門脈血流の増多を認めた.この所見から血流改変術の適応と考え,脾静脈コイル塞栓による分流術を施行した.術中直接測定した門脈圧は増加なく終了した.術後両下腿浮腫は消失し,ドプラにて術前評価と同様の門脈血流増多を確認し得た.術前の用手的脾静脈圧迫下ドプラは,門脈血流改変術の適応やその後の血行動態予測に有用と考えられ,報告する.
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© 2015 日本門脈圧亢進症学会
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