日本門脈圧亢進症学会雑誌
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21 巻, 2 号
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Editorial
総説
  • 片山 和宏
    2015 年21 巻2 号 p. 110-112
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    肝硬変では,生体内で重要な働きをしている微量元素である亜鉛の欠乏が見られる例が多い.これは,高アンモニア血症を含む窒素代謝異常の一因とされ,また線維化進展や免疫能低下などとの関連も示唆されている.亜鉛欠乏の原因としては,消化管からの吸収低下や尿中排泄の増加が指摘されている.また最近,肝硬変の合併症である浮腫や腹水に対する治療として使用される利尿剤が,尿細管からの再吸収を抑制することで,尿中排泄を増加させていることが指摘されている.今後,さらに肝硬変の病態における亜鉛欠乏の意義や補充療法の効果に関する検討の進むことが期待される.
原著
  • 魚住 祥二郎, 馬場 俊之, 吉田 仁
    2015 年21 巻2 号 p. 113-121
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    食道胃静脈瘤を合併した肝硬変184例に対する内視鏡的治療後の生存に寄与する因子について検討した.全体の累積生存率は1年:84.0%,3年:67.3%,5年:50.7%であり,生存に最も寄与する因子は肝細胞癌の合併であった.経過観察期間における肝細胞癌の合併により「肝細胞癌非合併群」と「肝細胞癌合併群」に分類し,さらに肝細胞癌合併群を進行肝細胞癌(Vp3-4,肝外転移,治療抵抗性肝細胞癌)の合併の有無により「進行肝細胞癌非合併群」と「進行肝細胞癌合併群」に分類した.進行肝細胞癌合併群は,他の2群に比較し有意に予後が不良であった.また,進行肝細胞癌合併群のうち内視鏡的治療時にすでに進行肝細胞癌を合併していた「治療時進行肝細胞癌合併群」は,内視鏡的治療後に進行肝細胞癌を合併した「治療時進行肝細胞癌非合併群」に比較し有意に予後が不良であり,門脈腫瘍塞栓(Vp3-4)を高率に合併していた.食道胃静脈瘤を合併した肝硬変に対する内視鏡的治療後には肝細胞癌のコントロールが重要であり,門脈腫瘍塞栓(Vp3-4)に進展する前に内視鏡的治療を行うような経過観察が必要であると考えられた.
症例報告
  • 仁志 麻衣子, 石川 剛, 相部 祐希, 白築 祥吾, 松田 崇史, 岩本 拓也, 高見 太郎, 寺井 崇二, 坂井田 功
    2015 年21 巻2 号 p. 122-127
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代女性.平成25年2月,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併した原発性胆汁性肝硬変(PBC)-自己免疫性肝炎(AIH)オーバーラップ症候群に起因する肝硬変患者が,食道静脈瘤および血小板減少症に対する精査加療目的で当科に紹介された.前医よりウルソデオキシコール酸とともにプレドニゾロン(PSL)が投与されており,受診時PSLの維持量は10 mg/日であった.結節状食道静脈瘤に対して同月に内視鏡的静脈瘤硬化結紮療法を施行したのち,脾腫を伴う血小板減少症に対して同年4月に部分的脾動脈塞栓術(PSE)を施行した.PSE後PSLを漸減・中止したが,その後も血小板減少・肝障害増悪は認められず,食道静脈瘤の再発もなく1年以上経過している.PSLの継続投与を余儀なくされていたITP・AIH・PBC合併患者に対してPSEを施行し,PSLを中止し得た貴重な症例を経験したので報告する.
  • 渡辺 徹, 松井 恒志, 奥村 知之, 長田 拓哉, 塚田 一博
    2015 年21 巻2 号 p. 128-134
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    トロンボモジュリンアルファ(リコンビナントトロンボモジュリン:rTM)はトロンビンと特異的に結合しその生成を抑える新規の作用機序をもつ抗凝固薬である.今回,Hassab手術後に門脈血栓症予防としてrTMを投与した1例を報告する.症例は70歳男性.C型肝硬変,脾機能亢進症にて外来フォロー中であった.2013年11月の腹部CT検査にて肝S8に28 mmの肝細胞癌と易出血性の食道静脈瘤を認めた.Hassab手術を先行し2期的に肝切除を行う方針とし,同年12月腹腔鏡補助下Hassab手術を施行した.rTMは手術当日および翌日に投与した.術後出血および門脈血栓症は認めず第20病日に退院となった.周術期におけるTAT, PIC, FMCなどの凝固線溶系マーカーの変動は,門脈血栓症発症例に比して小さい傾向であった.
    rTMは術後の過凝固や線溶系の亢進を抑制し凝固線溶系のバランスを保つ.よってrTMの使用は出血傾向がありながら血栓症,特に門脈血栓症のリスクが高いHassab手術後症例における新たな門脈血栓症予防方法として安全で有効な方法ではないかと考えられる.
  • 村上 晶彦, 天野 良彦, 三浦 真奈美, 高橋 太郎, 赤坂 威一郎, 本多 俊介, 松本 信, 大方 英樹, 小原 範之, 城戸 治
    2015 年21 巻2 号 p. 135-141
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    1年前まで食道胃静脈瘤が指摘できない患者が吐血とショックで救急搬送され,内視鏡検査では,胃潰瘍からの出血との鑑別診断が困難で,診断に緊急造影CTが有用であった胃噴門穹窿部孤立性胃静脈瘤破裂の1例を経験したので報告する.
  • 白井 保之, 中村 綾子, 谷本 治子, 牟田口 真, 青山 浩司, 吉田 智治
    2015 年21 巻2 号 p. 142-147
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.鮮血の吐血あり胃静脈瘤破裂の診断で当院搬送となった.穹窿部の静脈瘤に出血源を認めその近傍にヒストアクリルとリピオドール混合液を注入したところ,一部が胃腎シャントを介して胸部に流れるのが確認できた.直後の胸部CTにて右心室から肺動脈に線状のリピオドールによる高吸収域を認め,右肺動脈と左肺動脈の抹梢に類円形のリピオドールによる高吸収域を認めた.
    第14病日のCTではリピオドールによる高吸収域は右肺下葉に流れていた.呼吸困難や咳嗽などの自覚症状は認めなかったが,SpO2の低下が続き,酸素吸入を中止できたのは治療後30日後であった.
  • 中野 弘康, 高塚 健太郎, 吉松 英輝, 藤川 智章, 清水 弘仁, 松井 圭司, 種村 宏之, 中崎 晴弘, 松永 光太郎, 岩渕 省吾
    2015 年21 巻2 号 p. 148-154
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/12/27
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.10年来C型肝炎を指摘され,軽度の両下腿浮腫を認めていた.2013年2月浮腫が増悪し近医にて肝硬変を指摘され紹介された.脾門部近傍に拡張蛇行した巨大な脾腎シャントの形成を認めた.門脈血流超音波検査(ドプラ)にて門脈本幹は求肝性であったが,脾静脈は遠肝性で,今後肝萎縮の進行ないしシャント起因脳症の予防に治療介入を要すると判断した.用手的に体表から脾静脈を圧迫し門脈血流の変化を観察したところ,門脈本幹と肝内門脈血流の増多を認めた.この所見から血流改変術の適応と考え,脾静脈コイル塞栓による分流術を施行した.術中直接測定した門脈圧は増加なく終了した.術後両下腿浮腫は消失し,ドプラにて術前評価と同様の門脈血流増多を確認し得た.術前の用手的脾静脈圧迫下ドプラは,門脈血流改変術の適応やその後の血行動態予測に有用と考えられ,報告する.
テクニカルレポート
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