抄録
症例は81歳,女性.鮮血の吐血あり胃静脈瘤破裂の診断で当院搬送となった.穹窿部の静脈瘤に出血源を認めその近傍にヒストアクリルとリピオドール混合液を注入したところ,一部が胃腎シャントを介して胸部に流れるのが確認できた.直後の胸部CTにて右心室から肺動脈に線状のリピオドールによる高吸収域を認め,右肺動脈と左肺動脈の抹梢に類円形のリピオドールによる高吸収域を認めた.
第14病日のCTではリピオドールによる高吸収域は右肺下葉に流れていた.呼吸困難や咳嗽などの自覚症状は認めなかったが,SpO2の低下が続き,酸素吸入を中止できたのは治療後30日後であった.