2017 年 23 巻 2 号 p. 172-177
経口分岐鎖アミノ酸(branched-chain amino acids:BCAAs)製剤の投与が有効であったと考えられるアルコール性肝硬変に伴った胃幽門前庭部毛細血管拡張症(gastric antral vascular ectasia:GAVE)の症例を報告する.患者は53歳女性.アルコール依存およびアルコール性肝硬変にて当院に通院中であった.黒色便にて緊急受診し,上部消化管内視鏡検査にてGAVEからの出血と診断,内視鏡的止血後に入院となった.待機的なアルゴンプラズマ凝固(argon plasma coagulation:APC)を予定していたが,再観察時にはGAVEは著明に改善していた.入院前後における治療の変更点は,低アルブミン血症に対して追加した経口BCAAs製剤のみであり,BCAAs製剤の投与がGAVEの治療に有効であることが示唆された.GAVEに対し,APCなどと共に考慮されるべき治療であると考えられた.