2017 年 23 巻 4 号 p. 249-255
背景,方法:肝硬変患者の食道静脈瘤出血に対し予防的に抗菌薬を投与することが推奨されているが,本邦における投与の頻度や予後への影響に関する報告は少ない.そこで当院における144例の緊急EVL治療を対象とし,抗菌薬の予防投与が治療後の感染の発症と6週間以内の死亡に与える影響を後方視的に検討した.結果:抗菌薬の予防投与は16例(11.1%)のみであった.18例(12.5%)に感染が認められたが,予防投与群が2例,非投与群が16例であり,両群間に有意な差は認められなかった(p=0.627).6週間以内の死亡は39例(27.1%)に認められたが,予防投与群が4例,非投与群が35例であり,同様に有意な差は認めなかった(p=0.554).結語:抗菌薬の予防投与の頻度は低かったが,予後への影響は認めなかった.今後は前向きな検討を行い,本邦における適切な予防投与の適応を明らかにする必要がある.