日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
門脈圧亢進症に対する薬物治療の進歩
吉治 仁志
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2018 年 24 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

門脈圧亢進症の原因は様々であるが,臨床的に最も多く遭遇する疾患は肝硬変である.肝硬変は慢性肝疾患の終末像として知られており,以前は不可逆性と考えられていたが,近年の研究から適切な治療を行うことにより可逆的に線維化が改善することが明らかにされている.ここ数年の間に非代償性肝硬変に対する様々な新規薬剤が上市され,肝硬変の治療はパラダイムシフトとも言える変化を遂げている.腹水に対するバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン,肝性脳症に対する難吸収性抗菌薬であるリファキシミンや亜鉛製剤,肝性脳症や筋けいれんに対するカルニチン製剤,血小板増加薬であるルストロンボパグ,門脈血栓症に対するアンチトロンビンIII製剤,掻痒感に対するナルフラファン,など多くの薬剤を個々の症例に応じて使い分けることが臨床医に求められている.本総説では,これらの新規薬剤を中心に最近の門脈圧亢進症に対する最近の薬物療法につき概説する.

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© 2018 日本門脈圧亢進症学会
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