日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
胃静脈瘤に対するヒストアクリルによる内視鏡的塞栓療法の手技(奥義)
岩瀬 弘明
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2018 年 24 巻 2 号 p. 142-148

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抄録

孤立性胃静脈瘤の多くは一本の血管で構築されているためヒストアクリルの内視鏡的局注により容易に完全塞栓が可能である.リピオドー®1対1混合液により血液との重合体形成時間を延長し,X線透視により局注範囲が確認できる.最も重要な手技は確実な胃静脈瘤穿刺である.ヒストアクリルとリピオドール混合液局注の奥義は50%ブドウ糖溶液を使用して素早く穿刺針から静脈瘤内に押し出し血管内に不完全な重合体の一塊を形成し,引き続き50%ブドウ糖溶液を透視下で慎重に注入して穿刺部位から抹消側に押し広げることである.2倍希釈されているため複雑な血管構築を有する胃静脈瘤の細部まで,また供血路になる胃壁内の拡張血管まで塞栓可能である.治療に伴う侵襲,合併症は軽度で静脈瘤の完全塞栓例はその後,完全消失し再発も稀で胃静脈瘤の最適な治療といえる.高度肝臓障害,終末期症例においても十分な治療効果が得られ適応は広い.胃静脈瘤の血行動態,血管構築の知識と内視鏡的塞栓療法の奥義の習得により多くの胃静脈瘤に悩む患者を救うことができる.

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© 2018 日本門脈圧亢進症学会
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