日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
食道静脈瘤破裂と難治性腹水を来した脾動静脈瘻に対し脾臓摘出術を施行した1例
古川 聡一金子 順一赤松 延久市田 晃彦石沢 武彰有田 淳一長谷川 潔
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2020 年 26 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

症例は69歳女性,弓部大動脈人工血管置換術の手術歴があった.当院初診の約1年3か月前に敗血症と脾梗塞で前医入院加療を要した.その後約9か月経過後に突然吐血し,食道静脈瘤破裂の診断で内視鏡的静脈瘤結紮術を施行された.同時に難治性腹水が出現し当院を紹介された.肝炎ウイルス感染の既往や飲酒歴等はなかった.造影CTと造影超音波検査では脾門部の脾動静脈瘻を指摘され,門脈圧亢進の原因と考えられた.治療法として脾動脈塞栓術を検討したが,併存していた腎機能障害や脾膿瘍発症のリスクを考慮し,脾動静脈瘻部位を含む脾臓摘出術を施行した.術後経過は良好で術後第19日に退院した.その後腹水の再貯留と消化管静脈瘤の再発を認めていない.まれな食道静脈瘤破裂と難治性腹水を来した脾動静脈瘻に対し脾臓摘出術を施行した例を経験したため報告する.

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© 2020 日本門脈圧亢進症学会
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