日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
肝内リンパ管新生とその機序
田中 正剛岩切 泰子
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2020 年 26 巻 1 号 p. 5-8

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抄録

リンパ管は組織液の恒常性維持に重要な働きを持つ.20年程前にリンパ管内皮細胞に特異的なマーカー分子が発見され,リンパ管研究は急速な発展を遂げた.肝臓のリンパ管については解剖学的に詳細な研究がなされてきたが,肝硬変等の病的状態で起きるリンパ管新生の機序は未解明であった.また,新生された肝リンパ管の役割についてもよくわかっていない.ラットを使った最近の研究で我々は,交感神経のシュワン細胞から分泌されるリンパ管新生因子vascular endothelial growth factor (VEGF)-Cがリンパ管新生を惹起するという新たな機序を発見した.現在まで末梢神経からVEGF-Cが分泌されるという報告はなく,この発見は肝臓だけではなく,他の臓器のリンパ管新生にも関与する可能性がある.

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© 2020 日本門脈圧亢進症学会
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