日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態進行における自律神経を介した臓器間ネットワークの関与
髙 昌良上村 顕也名古屋拓郎酒井 規裕坂牧 僚横尾 健寺井 崇二
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2020 年 26 巻 2 号 p. 143-146

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抄録

【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease, NAFLD)は肝不全の一病態として重要な治療対象である.これまでに我々は肝障害時の肝再生に自律神経を介した消化管ホルモンの活性化の重要性を明らかにした.本研究では,NAFLDモデルマウスを対象として,その病態への神経ネットワークの関与および治療対象としての可能性を検討することを目的とした.【方法】NAFLDモデルマウスとして,コリン欠乏・メチオニン減量(CDAA)食給餌モデルと高脂肪食(HFD)給餌モデルを対象として,肝臓からの求心性内臓神経,迷走神経肝臓枝の遮断を行い,消化管ホルモン,腸内細菌叢への影響を評価した.【成績】CDAA食給餌モデルで胃からのグレリン分泌の活性化を認めたが,神経遮断により抑制され,NAFLDの進行抑制効果を認めた.また,両モデルで神経遮断により腸内細菌叢の構成が変化した.【結語】神経ネットワークへの介入が消化管ホルモン,腸内細菌叢に影響を与え,NAFLDの進行を抑制することが明らかとなった.

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© 2020 日本門脈圧亢進症学会
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