日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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原著
結腸静脈瘤の診断・治療アプローチ
北川 翔
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2020 年 26 巻 2 号 p. 147-151

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抄録

当科で経験した結腸静脈瘤6例を対象とし,結腸静脈瘤の存在診断,結腸静脈瘤出血の内視鏡所見,結腸静脈瘤に対する治療に焦点をあて後方視的に検討した.造影CTでは門脈系の閉塞を全例で認めたが,明らかな結腸静脈瘤を指摘し得たのは2例のみで,残り4例はthin slice CTで推察した血行動態をもとに内視鏡検査にて微細な結腸静脈瘤の所見を確認し得た.内視鏡観察を行った5例中4例で静脈瘤の破綻部を示唆するred dot signの所見があり,これら4例中3例で内視鏡的静脈瘤結紮術,1例で膵体尾部切除術が施行された.門脈系の閉塞を伴う下部消化管出血では結腸静脈瘤の存在を考慮する必要があり,その治療として内視鏡的静脈瘤結紮術が有効であった.

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© 2020 日本門脈圧亢進症学会
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