2021 年 27 巻 1 号 p. 71-77
60歳台男性.C型肝硬変で当院を通院.胃静脈瘤の増悪を認めたため,治療目的に2017年4月に入院となった.バルーン下逆行性経静脈的塞栓術を行い,18時間後血栓化を確認し翌日カテーテルを抜去した.抜去後のCTで胃腎短絡路の再開通を認めたため,再治療前に部分的脾動脈塞栓術を追加した.部分的脾動脈塞栓術後のCTでは胃腎短絡路の血流を認めており退院とした.1か月後再治療目的のバルーン下逆行性経静脈造影では排血路が描出されず,CTでも胃腎短絡路の血栓化が得られた.バルーン下逆行性経静脈的塞栓術不成功後に部分的脾動脈塞栓術のみで胃腎短絡路の閉塞が得られた症例を経験したので報告する.