日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
肝性脳症に対するPARTO(plug-assisted retrograde transvenous obliteration)の初期経験
矢田 晋作大内 泰文永原 天和星野 由樹
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2021 年 27 巻 1 号 p. 64-70

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抄録

PARTO(plug-assisted retrograde transvenous obliteration)は,AMPLATZER vascular plug II(AVP II)での排血路血流遮断下にゼラチンスポンジ(GS)を注入する逆行性静脈塞栓術であり,2013年Gwonらによって報告された.今回,我々は拡張した門脈大循環シャントによる猪瀬型肝性脳症に対してPARTOを行った3例の初期経験を報告する.全例で技術的に成功し,術後の造影CTではシャント血管は完全血栓化していた.また,全例で症状改善も得られた.1例は半年後に肝腎症候群,特発性細菌性腹膜炎によって死亡したが,それまで肝性脳症の再発は認めなかった.PARTOは安静を守れない肝性脳症患者に特に有用であり,プラグを留置できる症例では,猪瀬型肝性脳症に対する治療法として,第一選択になりうる.

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© 2021 日本門脈圧亢進症学会
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