日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
左開胸開腹アプローチによる脾臓摘出術の再評価
佐々木 脩金子 順一宮田 明典長谷川 潔
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2023 年 29 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

脾臓摘出術(脾摘)は腹腔鏡下手術が広く行われるが,食道がんや胃がんで報告を見る左開胸開腹アプローチについて,脾摘術に応用した報告はない.

2021年までの5年間に当院で行われた左開胸開腹アプローチによる脾摘11例(左開胸開腹群)と腹腔鏡下脾摘術10例(腹腔鏡下群)を解析した.左開胸開腹群の男女比は4:6,年齢中央値は69歳で,術前予測脾容量中央値は697 ml,疾患は脾腫瘍が7例,特発性門脈圧亢進症その他が4例であった.腹腔鏡下群の男女比は6:4,年齢71歳,脾容量213 ml,疾患は悪性リンパ腫5例,特発性血小板減少性紫斑病その他5例であった.左開胸開腹群で脾容量が大きく(p<0.05),手術時間は短く(p<0.01),膵液ろうが少なかった(p<0.05).

巨脾や脾悪性腫瘍など限定的な症例で右半側臥位および左開胸開腹アプローチを選択することで,迅速かつ安全に手術を施行した.

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© 2023 日本門脈圧亢進症学会
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