日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
維持透析中患者に対するBRTO
村井 一超城後 篤志山本 晃原田 翔平松下 和樹影山 健喜多 竜一神納 敏夫
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2023 年 29 巻 4 号 p. 235-240

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抄録

バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)は門脈圧亢進症による胃静脈瘤や肝性脳症を伴う門脈大循環短絡の治療法として広く行われている.BRTOは排血路から標的血管に硬化剤をバルーン閉塞下に逆行性に注入して血栓化させる治療法である.血液透析では抗凝固療法が必要となるが,透析中のBRTOの治療効果についての報告はほとんどない.本報告では,透析中にBRTOを施行した5症例(6治療)の治療効果について報告する.症例には十二指腸静脈瘤,胃静脈瘤,肝性脳症を伴う門脈大循環短絡が含まれ,いずれの症例も治療後に標的血管の血流の消失と血栓化が確認された.使用した5%モノエタノールアミンオレイン酸塩は平均12.5 mlであり,治療1~2日後に透析予定日に合わせて透析が再開された.抗凝固薬としてはヘパリンまたはナファモスタットメシル酸塩が使用されていた.出血や腹水貯留などの合併症は見られなかった.

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© 2023 日本門脈圧亢進症学会
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