2023 年 29 巻 4 号 p. 241-247
肝類洞閉塞症候群(sinusoidal obstruction syndrome:SOS)は症状発現時に腹水や出血傾向,腎機能障害を認め,経皮的肝生検による病理組織診断や造影剤を使用した画像診断ができずに診断に難渋することがある.従来はSeattle基準,修正Sesttle基準,Baltimore基準といった臨床症状を主に構成された診断基準が用いられていたが,2016年に欧州造血幹細胞移植学会から出された診断基準ではカテーテル検査による血行動態や腹部エコーの所見,2023年にはエラストグラフィーの所見を含めて診断することが可能となっており,早期診断および治療介入のために画像所見が重要視される傾向にある.今回我々は造血幹細胞移植後のSOSの診断補助として腹部エコーを用い,治療介入後は病状の改善をカラードプラで観察できた症例を経験したので報告する.