日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
脾の末梢動脈血流と脾腫との関連:特に脾内“diffuse A-V shunt”が発現する慢性肝疾患の特徴について
杤尾 人司登尾 薫井谷 智尚真鍋 美香岸田 あおい戸田 進也
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2024 年 30 巻 4 号 p. 266-277

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抄録

脾に発現する“diffuse A-V shunt”の機序を明らかにすることを目的として慢性肝疾患204例(このうち13例はdiffuse A-V shunt陽性),および非慢性肝疾患108例を対象にして超音波ドプラ法で観察した脾の末梢動脈の血流速度や末梢血管抵抗(以下,RI)と脾腫との関連性を検討した.その結果,①慢性肝疾患と非慢性肝疾患の両者ともに脾の末梢動脈血流速度と脾腫の程度との間に正の相関関係(rs=.480, rs=.471)が認められた.②非慢性肝疾患においては脾末梢動脈のRIと脾腫と間に相関関係はなかったが,慢性肝疾患では正の相関関係(rs=.528)が認められた.非慢性肝疾患の脾腫は血液を要求する“能動的”な脾動脈血流亢進状態であるのに対し,慢性肝疾患は“受動的”な脾動脈血流亢進状態と考えられた.③脾の“diffuse A-V shunt”は末梢動脈のRIが高く,“受動的”な脾動脈血流亢進状態がより強い慢性肝疾患に認められる傾向があった.脾のdiffuse A-V shuntは末梢における実質灌流能の限界を超えた際に発現する現象と考えられた.

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