日本門脈圧亢進症学会雑誌
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特別寄稿
門脈圧亢進症の病態と治療
〜Splanchnic caput Medusae〜
近森 文夫
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2025 年 31 巻 1 号 p. 12-26

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抄録

世の中には輝かしい業績を上げ,自分が羨ましいと思う臨床医はたくさんいる.一方,人生にはいろいろなことがあり,全員が臨床医として理想的な道を歩めるとは限らない.しかし,どのような環境となっても患者さんがいる限り,そこに臨床研究課題は存在する.自分においては,決して満足な臨床医人生であったとはいえないが,門脈圧亢進症を追求し続けることができラッキーであったと思う.門脈圧亢進症仲間にも恵まれ,専門書「食道・胃静脈瘤」の編集にも携ることができた.第4版にはsplanchnic caput Medusaeコンセプトも盛り込まれており,完成形ともいえる内容になったものと思う.門脈圧亢進症症例に初めて遭遇して,はや40年が過ぎた.高齢者の仲間入りはしたが,目の前に門脈圧亢進症患者さんがいる限りこの仕事は続けられる.内視鏡,IVR,外科手術を駆使して門脈圧亢進症と闘い続けたいと今強く思う.現在の自分の夢は,自分が死して300年後,メデューサの頭といえばsplanchnic caput Medusae(脾腫が顔,側副路が蛇髪)にコンセプトが変わっていることである.この夢を抱きながら老いて死ねることを幸せに思う.

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