日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
Give and takeな関係:肝臓と血小板
大河内 信弘
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2025 年 31 巻 1 号 p. 27-37

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抄録

血小板はPDGF, VGAF, IGF-1, S1Pなどのさまざまな生物活性物質を含んでおり,必要に応じて目的の部位に到達し,生理活性物質を放出するというミサイルのような器官である.我々は,血小板が創傷治癒や止血以外に,肝臓に対してどのような作用をもたらすかを検討した.その結果,血小板のもつ新たな肝細胞増殖促進効果,障害抑制効果,および繊維化抑制効果が明らかとなった.さらにトロンボポエチン(以下TPOと略す)を用いた血小板増多による肝硬変治療を行った探索的臨床研究では,1例のみではあるが著名な肝機能改善効果がみられた.以上の結果から,経口薬による硬変治療への新たな道が開けたと考えられる.

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© 2025 日本門脈圧亢進症学会
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