日本門脈圧亢進症学会雑誌
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特別寄稿
  • 近森 文夫
    2025 年 31 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/10
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  • 田尻 孝, 清水 哲也, 川野 陽一, 谷合 信彦, 吉田 寛
    2025 年 31 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/10
    ジャーナル フリー
  • 〜Splanchnic caput Medusae〜
    近森 文夫
    2025 年 31 巻 1 号 p. 12-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/10
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    世の中には輝かしい業績を上げ,自分が羨ましいと思う臨床医はたくさんいる.一方,人生にはいろいろなことがあり,全員が臨床医として理想的な道を歩めるとは限らない.しかし,どのような環境となっても患者さんがいる限り,そこに臨床研究課題は存在する.自分においては,決して満足な臨床医人生であったとはいえないが,門脈圧亢進症を追求し続けることができラッキーであったと思う.門脈圧亢進症仲間にも恵まれ,専門書「食道・胃静脈瘤」の編集にも携ることができた.第4版にはsplanchnic caput Medusaeコンセプトも盛り込まれており,完成形ともいえる内容になったものと思う.門脈圧亢進症症例に初めて遭遇して,はや40年が過ぎた.高齢者の仲間入りはしたが,目の前に門脈圧亢進症患者さんがいる限りこの仕事は続けられる.内視鏡,IVR,外科手術を駆使して門脈圧亢進症と闘い続けたいと今強く思う.現在の自分の夢は,自分が死して300年後,メデューサの頭といえばsplanchnic caput Medusae(脾腫が顔,側副路が蛇髪)にコンセプトが変わっていることである.この夢を抱きながら老いて死ねることを幸せに思う.

総説
  • 大河内 信弘
    2025 年 31 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/10
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    血小板はPDGF, VGAF, IGF-1, S1Pなどのさまざまな生物活性物質を含んでおり,必要に応じて目的の部位に到達し,生理活性物質を放出するというミサイルのような器官である.我々は,血小板が創傷治癒や止血以外に,肝臓に対してどのような作用をもたらすかを検討した.その結果,血小板のもつ新たな肝細胞増殖促進効果,障害抑制効果,および繊維化抑制効果が明らかとなった.さらにトロンボポエチン(以下TPOと略す)を用いた血小板増多による肝硬変治療を行った探索的臨床研究では,1例のみではあるが著名な肝機能改善効果がみられた.以上の結果から,経口薬による硬変治療への新たな道が開けたと考えられる.

  • 高槻 光寿
    2025 年 31 巻 1 号 p. 38-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/10
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    肝移植と門脈圧亢進症との関連について概説した.肝不全状態ではさまざまな程度で門脈圧亢進症を来し,健常肝が移植されることにより理論的には肝不全のみならず門脈圧亢進に伴う胃食道静脈瘤,腹水,肝性脳症なども改善されるはずであるが,期待ほどに治癒しないこともある.特に常に部分肝移植である生体肝移植においては,肝再生が完成するまでは門脈血流が相対的に過剰となりsmall-for-size syndromeを来すため,門脈-大循環シャントなどにより門脈圧を下げる工夫が必要となる.術前からの高度な側副血行路を処理すべきか否か,脾摘出の適応など,他にも議論すべき点があるが,いまだに明確なエビデンスが得られていない部分も多い.本稿では,肝移植の成績改善の一助とするべく,過去の文献などを参考に,周術期の門脈圧亢進症との関連を解説した.

原著
  • 杤尾 人司, 登尾 薫, 井谷 智尚, 真鍋 美香, 岸田 あおい, 戸田 進也
    2025 年 31 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/10
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    門脈圧が亢進した慢性肝疾患の脾内に超音波ドプラ法で認められる瀰漫性動静脈短絡“diffuse A-V shunt”(以下A-V shunt)は脾動脈血流の亢進を一つの原因として発現するが,脾動脈血流がなぜ亢進するのかは不詳である.今回,その原因として腹腔動脈を介してつながっている肝動脈の関与を考え,脾内A-V shunt陽性例と陰性例に分類し両者の肝動脈の血流動態を比較検討した.対象は慢性肝疾患184例224件の超音波データである.その結果,肝動脈の末梢血管抵抗(resistive index:以下RI)については,脾内A-V shunt陽性例(0.795±0.094,n=37)が陰性例(0.708±0.084,n=187)に比べ有意(p<0.001)に高値であった.経過観察中に脾内A-V shuntが陰性化した症例6例は全例陰性時に肝動脈のRIが低下していた.まとめ:脾内A-V shunt陽性例の肝動脈のRIは増大していた.脾内A-V shuntが発現した門脈圧亢進症には負のスパイラルともいえる血流動態的な肝脾相関が存在すると思われた.

総会・研究会 司会総括
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