抄録
食道胃静脈瘤に対するシャント手術では遠隔期で多くが肝性昏睡, 高アンモニア血症を呈するが, 当科で施行しているDSRS症例では2例 (3.1%) に過ぎなかった.また, 遠隔成績は3年生存82.8%, 5年生存80.3%, 9年生存で70.9%と良好であった.術前後のcombined therapyとしての内視鏡的治療はQOLの点で有用であった.また, 問題点としては, DSRS術後の再発静脈瘤やportal hypertensive gastropathyを呈する症例のなかに腎静脈周囲の血行動態の関与を示唆する症例があり, フォローアップの際には留意する必要がある.内視鏡的ドプラ血流計や超音波内視鏡は術前後の病態把握や治療効果の判定などフォローアップには極めて有用であり, combined therapyとして適宜内視鏡的治療を付加することが肝要である.