日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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遠位脾腎静脈吻合術後遠隔時の問題点
芦田 寛西脇 学西岡 昭彦宇都宮 譲二
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1997 年 3 巻 2 号 p. 137-140

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抄録
遠位脾腎静脈吻合術 (DSRS+SPD) の術後長期経過症例の問題点として, 肝性脳症と肝癌発生を, 術後3年以上生存しかつ術前肝癌非合併例63例 (肝硬変54例, 特発性門脈圧亢進症8例, 肝外門脈閉塞症1例で, Child A27例, B29例, C7例) を対象として検討した.肝性脳症は7例 (11.1%) で術後平均1189日に認め, 累積肝性脳症発生率は15.5%であった、経回結腸静脈的側副路塞栓術 (TIO) を行った2例では脳症の改善を認めた.また, 拡大胃血行郭清を施行した18例では脳症は認めなかった.肝癌は10例 (15.9%) に術後平均1135日で確認し, 累積肝癌発生率は19.7%であった.肝切除施行した3例中2例で再手術後4年以上の長期生存を認めた.DSRS+SPD術後遠隔時の肝性脳症や肝癌の発生が問題点といえたが, TIOや肝切除等の積極的な治療が有効といえた.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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