日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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3 巻, 2 号
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  • 二川 俊二, 藤田 力也
    1997 年 3 巻 2 号 p. 95
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • -門脈血行動態の変化からみた検討-
    星野 和彦, 松谷 正一, 税所 宏光
    1997 年 3 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤硬化療法後の長期経過例の病態を明らかにする目的で, 食道静脈瘤硬化療法を行った肝硬変63例を対象に, 治療後の側副血行路の変化を超音波検査により観察し, 食道静脈瘤再発や肝性脳症の発症との関連を検討した. (1) 治療後に脾門部近傍短絡路 (腎静脈短絡路) や臍傍静脈など側副血行路の出現や増大を認めた.側副血行路を有する群の食道静脈瘤再発は有さない群に比べて, 低率であり, とくに脾門部近傍短絡路を有する群の再発が著しく低率であった. (2) 治療後に肝性脳症を発症した症例のほとんどは, 治療後に側副血行路が出現あるいは増大した症例であった. (3) 肝性脳症発症群では早期に肝不全死する症例が多くみられ, 非脳症群に比べ生命予後が不良であった.超音波検査による門脈血行動態の把握は, 食道静脈瘤治療後症例の長期管理の上できわめて有用と考えられた.
  • -長期無再発群と再発群との比較-
    矢崎 康幸, 川島 哲也, 菅原 謙二, 田村 保明, 村中 茂人, 首藤 龍人, 藤本 佳範, 大竹 孝明, 斉藤 浩之, 高後 裕
    1997 年 3 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    1983年から1996年にかけて硬化療法後, 3年以上経過を観察しえた101例を再発71例と無再発30例に分け2群間の差違を検討した.手技は内視鏡装着バルーンを用い, X線透視下に5%EOを血液供給路まで注入, さらに少量の硬化剤を粘膜内注入し細血管, 健常粘膜を脱落させた.3か月毎に内視鏡的観察を行いRC-サイン出現例を再発とし再治療した.再治療回数は観察期間64±25か月の間に1例あたり平均2.2回.再発群は無再発で経過している群に比べ累積生存率が有意に低かった (8年生存率は各々45%および, 70%.p<0.05).再発群では経過観察期間中にchild分類のグレードが進展する例が多かった (肝病態の進展率は再発群49%, 無再発群20%.p<0.05).つまり初回治療時のchild分類の程度のみならず, 肝病変の進展速度が再発に大きな影響を与えていた.以上より, 肝病態が進展傾向を示す例は再発しやすいといえる.
  • 橋爪 誠, 御江 慎一郎, 津川 康治, 田上 和夫, 富川 盛雅, 岸原 文明, 川中 博文, 太田 正之, 森田 真, 杉町 圭蔵
    1997 年 3 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    硬化療法の遠隔期での合併症および長期成績について検討したので報告する.対象は1982年1月より1996年5月までに当院で硬化療法を施行された1,600例のうち, 3年以上経過した症例555例である.内訳は, 肝硬変症が529例で, 急性例91例, 待期例128例, 予防例336例, 肝癌合併73例であった.平均4.4回の硬化療法を受け, 静脈瘤の完全消失率は91.9%であった.おもな合併症としては, 食道狭窄91例が治療直後に認められた.上部消化管出血は57例に認められ, 30例は治療途中か硬化療法後の潰瘍出血であった.治療後の門脈血栓は0例, 食道癌の発生5例, 肝癌の発生53例であった.10累積非出血率は91.3%, 10年累積小血管出現率は39.4%であった.死因は, 肝不全112例 (52.6%), 肝癌69例 (32.4%), 上部消化管出血6例 (2.8%) であった.以上より, 硬化療法は, 長期に静脈瘤出血を予防することが可能であり, 硬化療法に起因する重篤な合併症はなく, 良好なQOLが得られることが分かった.
  • 坂本 弘明, 小原 勝敏
    1997 年 3 巻 2 号 p. 111-113
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    地固め法施行後3年以上経過を観察することができた85例の遠隔期成績について検討した.地固め法後の再発率は7%で, 出血再発は認められなかった.一方当科で施行したEIS症例のうち地固め法を施行しなかった例では再発が31%, 出血再発が10%であることから地固め法は再発防止に有効と考えられた.地固め法後の遠隔期において, 治療法と関連した重大合併症は認められなかった.再発例と非再発例につきEUSで検討したところ, 再発例では食道外膜に接するように存在する静脈叢 (peri-esophageal venous plexus) の発達が高度で, 食道壁貫通血管も高頻度に存在し直径2mm以上のものが多かった.このことから地固め法後のEUSによる観察は, 再発予知や追加治療の必要性の把握に有用であった.地固め法後の再発例に対する外来硬化療法は, 安全に施行でき, 翌日から軽労働が可能なことよりQOL向上のための有用な方法と考えられた.
  • 蜂谷 公敏, 増田 勝紀, 大政 良二, 秋庭 宏紀, 山本 学, 千葉井 基泰, 日野 昌力, 鈴木 博昭
    1997 年 3 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道・胃静脈瘤治療後遠隔期の問題点として, 静脈瘤の再発, 肝癌合併, 肝性脳症, 肝機能低下や門脈圧亢進胃症 (PHG) などがある.このたびわれわれは, 1%ポリドカノール (AS) を用いた硬化療法が行われた後3年以上生存し, その後経過を十分追えた111例を対象に, 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 後の内視鏡的経過観察所見から治療が必要と判断した症例を取り上げて分析し, 管理上の問題点を検討した.治療を要した症例とは静脈瘤再発28例, PHG3例, EIS後の瘢痕狭窄2例, 異所性静脈瘤の出現6例 (十二指腸静脈瘤3例, 直腸静脈瘤3例) および新たに発生した消化管癌6例 (食道癌2例, 胃癌3例, 大腸癌1例) であった.初回EIS後3年経過しても複数回の再発を示す症例はすべて肝癌合併あるいは, 飲酒家であり, 再発の予防には, 禁酒の指導と肝癌の早期発見と治療が必要と思われた.また, 患者の延命とともに, 異所性静脈瘤の発生や消化管癌の新生もみられるようになり, これらを念頭においた注意深いフォローアップが重要である.
  • 松村 雅彦, 小泉 雅紀, 本田 泰啓, 鶴薗 卓也, 福井 博
    1997 年 3 巻 2 号 p. 119-121
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    初回内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 後3年以上経過をみた130例を対象とし, EIS後の遠隔期における問題点につき検討した.EISは主としてイオパミドール混和エタノールアミンオレエイトを硬化剤として用い, 透視下で施行した.遠隔期における問題点の一つは再発と出血に関してである.追加治療の累積施行率は3年で45%が10年経過例では83%に達した.また, 累積出血率は3年で19.2%が7年後には50%を越える率となった.遠隔期には, 胃静脈瘤や門脈圧充進性胃症などの胃病変からの出血が増え, 食道静脈瘤からの出血では形態がF1以下のものが多かった.次の問題点は癌の発生である.累積肝癌発生率は3年で16%が6年で31%となり, 門脈腫瘍塞栓のため静脈瘤が急激に増大し破裂を来した症例もみられた.もう一つの問題点は肝障害の進展に関してである.EIs後3年でChild分類が悪化していたのは27.6%であり, 悪化例では出血頻度が高い傾向にあった.また, EIS後血行動態の変化から肝性脳症を繰り返すようになった症例もみられた.
  • 萩原 優, 中野 末広, 長岡 至朗, 岡野 亨, 小森山 広幸, 山口 晋
    1997 年 3 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対する治療方法として, 直達術と内視鏡的硬化療法がある.これらの治療法の長期予後を検討するために, 治療後3年以上経過した症例を分析した.対象は直達術156例, 硬化療法226例である.検討項目は全体, 治療時期別, Child分類別生存率と基礎疾患の肝硬変, 非肝硬変の予後の比較, 再出血率, 死因について行った.結果は5年累積生存率は直達術61%, 硬化療法44%であり, 治療時期, Child分類別の比較でも両治療法は同じ傾向があり, 予防, 待期が緊急より有意差をもって良好であり, Child分類でもA, BがCに比べて有意に成績が良い.再出血は直達術が26例17%, 硬化療法が25例11%であり, 死因は肝不全, 肝癌, 出血の順で全体の80%を占めていた.今回の検討ではわれわれの成績は食道静脈瘤に関する全国アンケートの結果と非常に類似していた.
  • 稲垣 均, 原田 明生, 黒川 剛, 野浪 敏明, 中尾 昭公, 高木 弘
    1997 年 3 巻 2 号 p. 127-129
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    教室では, 食道胃静脈瘤に対して, ICG血中消失率や凝固能を指標とした適応基準により胃上部切除術を主とした直達手術を行ってきた.1973年以降の術入院死や肝癌発症例を除いた肝硬変患者119例の長期生存率は良好な成績であったが, これらの症例は, Child-Pughによる分野では, すべてA群とB群のみであった.直達手術後の長期成績の検討では, 再発と再出血が問題となってくる.従来の成績では, 5年再発率出血率は, それぞれ18%, 17%であった.しかし, 内視鏡療法の進歩普及した近年では, 44%, 11%であった.内視鏡療法により, 再発に対する早期よりの対処が可能となり, 術後のQOLは著しく改善している.直達手術の位置付けは変化してきているが, 肝機能軽度障害例, 胃静脈瘤症例, 脾機能亢進症例など病態に応じた適切な選択による直達手術は, 良好な長期成績を得る治療法として有用である.
  • 蓮見 昭武, 藤田 順子, 木村 彰良, 江崎 哲史, 宇山 一朗, 小森 義之, 杉岡 篤, 青木 春夫
    1997 年 3 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道胃静脈瘤の発症には, 門脈系全体としての圧亢進に伴う逆行遠肝性副血行路, およびとくに下部食道胃噴門部領域における消化管壁内粘膜下動静脈吻合開大増加に伴う局所静脈系圧亢進状態, の両病態が直接要因として関与している.したがって静脈瘤に対する治療は, これら両病態の直接解消除去, もしくは局所静脈系圧亢進状態の大静脈系へのドレナージのいずれかが原則となる.教室で考案した粘膜保存胃離断術は, このような静脈瘤の発症病態・治療原則に合致した合理的な経腹的直達手術である.本術式施行例の術後遠隔成績を基礎疾患別に検討した結果, 肝機能良好な特発性門脈圧亢進症, 肝外門脈閉塞症などの遠隔成績はきわめて良好であったが, 肝硬変症では静脈瘤出血, 脾機能亢進症状に対する制御は長期間良好に保たれていたものの, 遠隔時の肝癌・肝不全・門脈圧亢進症性胃症などの発症が少なくなく, 重要な問題点と考えられた.
  • 芦田 寛, 西脇 学, 西岡 昭彦, 宇都宮 譲二
    1997 年 3 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    遠位脾腎静脈吻合術 (DSRS+SPD) の術後長期経過症例の問題点として, 肝性脳症と肝癌発生を, 術後3年以上生存しかつ術前肝癌非合併例63例 (肝硬変54例, 特発性門脈圧亢進症8例, 肝外門脈閉塞症1例で, Child A27例, B29例, C7例) を対象として検討した.肝性脳症は7例 (11.1%) で術後平均1189日に認め, 累積肝性脳症発生率は15.5%であった、経回結腸静脈的側副路塞栓術 (TIO) を行った2例では脳症の改善を認めた.また, 拡大胃血行郭清を施行した18例では脳症は認めなかった.肝癌は10例 (15.9%) に術後平均1135日で確認し, 累積肝癌発生率は19.7%であった.肝切除施行した3例中2例で再手術後4年以上の長期生存を認めた.DSRS+SPD術後遠隔時の肝性脳症や肝癌の発生が問題点といえたが, TIOや肝切除等の積極的な治療が有効といえた.
  • -シャント術 (DSRS with SPGD) 症例を中心に-
    奥芝 俊一, 北城 秀司, 金谷 聡一郎, 伊藤 清高, 杉浦 博, 大野 耕一, 高橋 利幸, 加藤 紘之
    1997 年 3 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道胃静脈瘤に対するシャント手術では遠隔期で多くが肝性昏睡, 高アンモニア血症を呈するが, 当科で施行しているDSRS症例では2例 (3.1%) に過ぎなかった.また, 遠隔成績は3年生存82.8%, 5年生存80.3%, 9年生存で70.9%と良好であった.術前後のcombined therapyとしての内視鏡的治療はQOLの点で有用であった.また, 問題点としては, DSRS術後の再発静脈瘤やportal hypertensive gastropathyを呈する症例のなかに腎静脈周囲の血行動態の関与を示唆する症例があり, フォローアップの際には留意する必要がある.内視鏡的ドプラ血流計や超音波内視鏡は術前後の病態把握や治療効果の判定などフォローアップには極めて有用であり, combined therapyとして適宜内視鏡的治療を付加することが肝要である.
  • 岡本 英三, 豊永 純
    1997 年 3 巻 2 号 p. 145
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 入澤 篤志, 小原 勝敏, 坂本 弘明, 滝口 藤夫, 東條 淳, 斎藤 文子, 粕川 禮司
    1997 年 3 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道壁外シャントを有する食道静脈瘤症例に対する安全かつ効果的な治療法を, 内視鏡的食道静脈瘤造影 (EVIS) 所見と超音波内視鏡所見から検討した.食道壁外シャント24例を対象とし, 造影所見から供血路造影陽性例と陰性例に分けた.さらに, 治療前の超音波内視鏡所見と供血路造影所見とを対比させた.陽性の13例では全例がオレイン酸エタノールアミン剤単独により治療できた.陰性の11例では, シャント閉塞のために8例がエタノールを必要とし, 2例は内視鏡的食道静脈瘤結紮術 (EVL) を施行した.超音波内視鏡での食道壁貫通血管径が3mm以上の場合は, 供血路造影は陰性が多く, 治療にエタノールを必要しとした.以上の成績から, 食道壁外シャント例のEISは, EVISから得られた所見によって適切な硬化剤を選択することが必要である.さらに治療前の超音波内視鏡所見は, 治療方針決定や合併症防止の上からも有用である.
  • 単独例および経カテーテル治療併用例の検討
    本田 泰啓, 松村 雅彦, 小泉 雅紀, 梅本 典江, 森安 博人, 上田 重彦, 折橋 透, 米田 諭, 福井 博
    1997 年 3 巻 2 号 p. 155-158
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    孤立性胃静脈瘤 (S-GV) に対して, イオパミドール混和5%エタノールアミンオレエイトを硬化剤として用いた内視鏡的硬化療法 (EIS) を施行し, 治療成績を検討したところ満足のいく成績が得られた.しかし, EIS単独でS-GVを消失させる方法は施行回数や硬化剤の使用量の面からみてなお改善の予知があると思われた.そこで, 胃腎シャント閉塞下 (shunt-occluded) や, 経頸静脈肝内門脈大循環シャント術 (TIPS) や, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) などの経カテーテル治療を併用したEISを試みた.症例数は少ないながらもこれら経カテーテル治療を併用したEISは非常に満足の行く治療成績が得られた.S-GVに対しては外科手術以外にもいろいろな治療法がなされているが, S-GVの血流減少を図ることが治療成績をより高めるものと思われるため, 経カテーテル治療併用EISのような併用療法 (combinedtherapy) が積極的になされるべきと考えられる.
  • 千葉井 基泰, 鈴木 博昭
    1997 年 3 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道胃静脈瘤急性出血例に対して内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) を施行し, 緊急EVLの治療効果を検討するとともに, その限界につき考察を加えた.過去4年間の食道胃静脈瘤急性出血74例のうち治療を行った57例 (77%) の内訳は, EVL36例 (63%), EIS21例 (37%) であった.食道静脈瘤急性出血に対するEVLの止血方法は, 出血部位を直接結紮した症例21例 (72%), 出血部位が確認できず螺旋状に結紮した症例が8例 (28%) であった.胃静脈瘤急性出血に対するEVLは7例に施行し, EVLを出血部位および周囲に結紮したのちAS-EISを追加した.緊急EVLにより1週間以上止血が得られた継続的止血率は, 食道100%, 胃72%であった.緊急EVLは食道静脈瘤急性出血に対しては高い止血能を有したが, 胃静脈瘤急性出血に対しては, EISや経血管的治療法との併用を要する症例も認められた.緊急EVLは食道胃静脈瘤急性出血に対する治療に貢献し止血法として活用されるものと考える.
  • -その手技と評価-
    西川 芳之, 細川 鎮史, 土井 俊彦, 神野 健二
    1997 年 3 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    内視鏡的硬化療法 (EIS) 時に透視下で5%EOIを静脈瘤内に注入後, 穿刺したままその針穴を含めて結紮術 (EVLI) を行う, EIS・EVL同時併用療法 (EISL) を74例に施行し, 平均施行回数は2.1回, 平均所要時間は11.5分/1回, 硬化剤の総使用量は9.1mlと, 良好な成績を得た.またEISとの無作為比較試験を行ったところ, EIS群はこれらの項目すべてにおいてEISL群の2倍近くを要し有意差を認めた.本法は, 抜針後の出血対策と静脈瘤血流の遮断を目的としているが, 今後EISの改良法として確立しうる手技と考えられた.さらに, 再発に重要な因子としてCoxの比例ハザードモデルにより選択された血管内注入率 (血管内注入量/総注入量) により2群に分け, 再発までの期間をKaplan-Meier法にて検討すると, 十分に血管内注入できた群では再発が少なく (p=0.026), この点でEVL単独に比し有用と思われた.
  • 於保 和彦, 豊永 純, 酒井 照博, 里 雅博, 中野 良一, 山脇 眞, 岩尾 忠, 谷川 久一
    1997 年 3 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    胃穹窿部静脈瘤は大きな門脈-大循環シャントの途中で形成されるという特殊な血行動態のため, その治療にはさまざまな工夫を要する.当科では1989年1月より急性出血例に対しbutyl cyanoacrylate系組織接着剤を第一選択とし, 非常に良好な成績を得ている.しかし, 止血のみでは約30%に再出血を認めることから, 完全消失を目標とした治療が必要である.1992年8月から導入したB-RTOは, 大量の血流を制御できる点で優れており, 現在までに緊急例 (14例), 待期例 (10例) および予防例 (25例) に行い, 静脈瘤の消失率ほぼ100%, 再発再出血なしという極めて良好な成績を得ている.しかし, B-RTO不能例が数例あり, かかる症例では組織接着剤併用内視鏡的硬化療法やHassab術などを選択している.以上, 当科では胃穹窿部静脈瘤に対し組織接着剤で止血し, B-RTOで消失させるという治療戦略をとっている.
  • 角谷 宏, 日野 昌力, 鈴木 博昭, 松本 滋
    1997 年 3 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    孤立性胃静脈瘤に対する治療戦略について示した、血行動態の把握が重要である.従来経動脈的門脈造影で診断していたが, ある程度の太さの血管の描出には低侵襲な診断法であるMRアンギオグラフィが有用である.治療法では胃腎シャントに代表される, 胃静脈瘤と大循環シャントの明らかな症例には経静脈的塞栓術が有効で中でもカテーテル留置法であるTOPSが有用である.大きな胃静脈瘤でシャントの明らかでない症例に対してはPTPを行い, さらに詳細な血行動態を検討し, 可能ならば引き続きPTOを施行する.それ以外の症例には内視鏡的硬化療法で安全に治療可能である.一方, 緊急例に対してはまず直視下に出血点を確認しシアノアクリレート系薬剤原液を注入する.確実な止血が得られた後治療戦略を立てるべきである.
  • 黒川 剛, 原田 明生, 野浪 敏明, 稲垣 均, 中尾 昭公, 高木 弘
    1997 年 3 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    胃食道静脈瘤に対する直達術の意義を, とくに脾機能亢進症の観点から検討した.当科で経験した直達術施行症例中, 肝癌を有しない150例を対象とし, 術中の門脈血行動態, 血液生化学検査, 静脈瘤の再発の有無, 生存率を解析した.脾重量と脾摘後の門脈血流量の低下はよく相関し, 巨脾の症例ほど脾摘により門脈圧を低下させることができると考えられた.術直後, 術後長期ともにKICG値は術前に比較して低下せず, 手術による肝機能の低下はみられなかった.術後の血小板は著明に上昇し, この効果は長期に持続した.脾機能亢進の程度を術前の血小板数により3群に分類し, 術後の合併症, 長期予後を比較したところ, 著明な脾機能亢進群であっても, その他の群と同程度の成績であった.この結果, 高度な脾機能亢進症例であっても手術は安全に施行でき, 脾腫による圧迫症状や, 脾機能亢進症状を解除できるという意味で, 直達術は有用であると考えられた.
  • 深澤 正樹, 太田 秀次郎, 大橋 薫, 大浦 慎祐, 中西 亮, 児島 邦明, 別府 倫兄, 二川 俊二
    1997 年 3 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    教室では食道・胃静脈瘤に対して経胸食道離断術を中心とした直達手術を第一選択とし, 静脈瘤に対しては良好な成績を得てきたが, 重症肝障害例や緊急出血例での浸襲の大きさは長年にわたる課題であった.しかし近年EISの発達によって, 治療法の選択の幅が拡大し, とくに静脈瘤に対する効果は食道離断術より小さいものの, より侵襲の少ないHassab手術の重要性が増している.今回この術式の静脈瘤に対する効果の不十分さをEISによって補うcombined therapyとしてEIS後12カ月以内にHassab手術を行った26例と, Hassab手術後6カ月以内にEISを追加した12例について検討した.その結果両群ともに手術死亡は1例もなく, 静脈瘤の遺残・再発は両群で7例みられたが破裂出血は1例のみで, いずれも1クールのEIS追加で消失し, 良好な成績を得た.本法は食道離断術の困難なChild B程度の肝障害例や緊急出血例, 静脈瘤合併肝癌の肝切除時の付加手術などを中心に積極的に試みてよい治療法と考えられた.
  • 田上 和夫, 橋爪 誠, 御江 慎一郎, 津川 康治, 富川 盛雅, 太田 正之, 岸原 文明, 川中 博文, 杉町 圭蔵
    1997 年 3 巻 2 号 p. 185-187
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道, 胃静脈瘤に対する治療法の選択について以下の検討を行った.対象および方法 : 1982年11月より1995年12月まで内視鏡的硬化療法 (EIS) 施行1435例のうち, 1カ月以内に食道静脈瘤が完全消失した128例 (早期消失例) と, 治療に2カ月以上要した41例 (難治例) に分類し, 胃静脈瘤に対するEIS症例115例のうち消失しえた99例 (硬化療法群) と, Hassab手術を付加した16例 (硬化療法+手術群) に分類した.各々肝機能, 血管造影所見等について比較検討した.成績 : 難治例のICGR15, 再出血率は早期消失例に比べて高値であった.硬化療法+手術群のICGR15は硬化療法群に比べて高値であったが, 再出血は認めなかった.門脈造影では食道静脈瘤患者の難治例, 胃静脈瘤患者の硬化療法+手術群で頭側側副血行路の発達や巨大シャントが著明であった.結語 : 肝機能不良例および巨大なシャントを持つ症例では難治となる可能性が高いため, 手術, 経皮経肝食道静脈瘤塞栓術, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術などの併用を考慮するべきである.
  • 土橋 康之, 中村 宏, 河野 辰幸, 井上 晴洋, 五関 謹秀, 竹下 公矢, 遠藤 光夫
    1997 年 3 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道胃静脈瘤は, 外科的, 内視鏡的, 放射線科的とさまざまな治療法を認めるも, それぞれ一長一短があり, 画一的に治療するには, 問題が多く, 限界がある.このため, 門脈圧亢進症側副血行路を十分に検討し, 症例に応じた治療法を選択することは合理的と考える.おもに超音波内視鏡にて門脈圧亢進症側副血行路と消化管の壁構造を十分に検討した.その結果, 胃静脈瘤を形成し, これと連続し食道静脈瘤となる食道・胃静脈瘤型, 胃には静脈瘤を認めず食道のみに静脈瘤を認める食道静脈瘤型, 食道には静脈瘤を認めない, あるいは連続性のない孤立性胃静脈瘤型の3型に分類し治療法を選択した.高度の食道胃静脈瘤には外科治療, 中等度以下の食道胃静脈瘤には内視鏡的食道静脈瘤硬化療法, 食道静脈瘤には, EISあるいは内視鏡的静脈瘤結紮術, シャントのある孤立性胃静脈瘤には, バルーン下逆行性経静脈的塞栓術あるいは外科治療, シャントのない孤立性胃静脈瘤には, EISあるいは外科治療を選択して良好な治療成績を得ている.
  • 加藤 紘之
    1997 年 3 巻 2 号 p. 193
    発行日: 1997/08/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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