日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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食道静脈瘤硬化療法後の長期経過例における病態
-門脈血行動態の変化からみた検討-
星野 和彦松谷 正一税所 宏光
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1997 年 3 巻 2 号 p. 97-101

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抄録
食道静脈瘤硬化療法後の長期経過例の病態を明らかにする目的で, 食道静脈瘤硬化療法を行った肝硬変63例を対象に, 治療後の側副血行路の変化を超音波検査により観察し, 食道静脈瘤再発や肝性脳症の発症との関連を検討した. (1) 治療後に脾門部近傍短絡路 (腎静脈短絡路) や臍傍静脈など側副血行路の出現や増大を認めた.側副血行路を有する群の食道静脈瘤再発は有さない群に比べて, 低率であり, とくに脾門部近傍短絡路を有する群の再発が著しく低率であった. (2) 治療後に肝性脳症を発症した症例のほとんどは, 治療後に側副血行路が出現あるいは増大した症例であった. (3) 肝性脳症発症群では早期に肝不全死する症例が多くみられ, 非脳症群に比べ生命予後が不良であった.超音波検査による門脈血行動態の把握は, 食道静脈瘤治療後症例の長期管理の上できわめて有用と考えられた.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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