日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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硬化療法後3年以上経過観察例の検討
-長期無再発群と再発群との比較-
矢崎 康幸川島 哲也菅原 謙二田村 保明村中 茂人首藤 龍人藤本 佳範大竹 孝明斉藤 浩之高後 裕
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1997 年 3 巻 2 号 p. 103-105

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抄録
1983年から1996年にかけて硬化療法後, 3年以上経過を観察しえた101例を再発71例と無再発30例に分け2群間の差違を検討した.手技は内視鏡装着バルーンを用い, X線透視下に5%EOを血液供給路まで注入, さらに少量の硬化剤を粘膜内注入し細血管, 健常粘膜を脱落させた.3か月毎に内視鏡的観察を行いRC-サイン出現例を再発とし再治療した.再治療回数は観察期間64±25か月の間に1例あたり平均2.2回.再発群は無再発で経過している群に比べ累積生存率が有意に低かった (8年生存率は各々45%および, 70%.p<0.05).再発群では経過観察期間中にchild分類のグレードが進展する例が多かった (肝病態の進展率は再発群49%, 無再発群20%.p<0.05).つまり初回治療時のchild分類の程度のみならず, 肝病変の進展速度が再発に大きな影響を与えていた.以上より, 肝病態が進展傾向を示す例は再発しやすいといえる.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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