日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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孤立性胃静脈瘤に対する予防的内視鏡的硬化療法の適応
-出血と再発の予知-
入澤 篤志小原 勝敏斎藤 文子宍戸 英夫滝口 藤夫坂本 弘明西間木 友衛粕川 禮司
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1998 年 4 巻 3 号 p. 229-234

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抄録

当科で経験した孤立性胃静脈瘤 (Lg) 89例の内視鏡的特徴から, Lg症例に対する予防的硬化療法の適応についてretrospectiveに検討した.さらに, 超音波内視鏡 (EUS) から再発予知因子についても検討した.出血例は, F因子はF2以上と大きい傾向にあり, RC sign陽性例とerosion陽性例で出血の頻度が高かった.Lgの存在部位別ではLg-fの出血率が高い傾向にあった.再発例のEUS的検討では, 治療後の胃壁内に, 貫通血管を伴う無エコー管腔像が観察される症例, および胃漿膜に接して観察される径の小さな血管群 (peri-gastric collateral veins) が高度に認められた症例で再発が有意に多い結果であった.Lg出血は大量出血を起こし, しばしば生命予後にも影響を及ぼす.今回の検討で得られた出血の危険因子, および再発予知因子が認められた場合には, 積極的に予防的治療を施行することが必要と考えられた.

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