日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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胃静脈瘤に対する直達術の意義
黒川 剛野浪 敏明原田 明生中尾 昭公高木 弘
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1998 年 4 巻 3 号 p. 241-244

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抄録
過去9年7カ月の間に, 当科において直達手術を行った胃静脈瘤患者27例 (食道静脈瘤合併例を含む) の治療成績を検討した.門脈圧亢進を来した基礎疾患は, 肝硬変症21例, 肝外門脈閉塞症3例, 特発性門脈圧亢進症3例であった.胃静脈瘤からの出血歴のある症例は6例であった.施行術式は, 食道離断18例, Hassab手術を5例, Hassab手術に硬化療法または結紮術の組合せを4例に行った.胃静脈瘤単独例にはHassab手術をおもに行った.術後平均観察期間は977.7日であった.術後合併症は3例 (11.1%) に認められた.術入院死はなかった.胃静脈瘤再発に関しては, 術後の内視鏡で27例全例で消失し, 観察期間中の再発再燃は全くなかった.この結果, 胃静脈瘤に対する直達術の長所は高い治療成績であり, 短所は術後合併症の可能性があることであった.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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