日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
Online ISSN : 2187-1213
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門脈血行動態からみた穹窿部胃静脈瘤出血に関する検討
-予防的治療の適応-
三橋 修松谷 正一佐藤 悟郎丸山 紀史中野 陽子深町 唯博税所 宏光
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1998 年 4 巻 3 号 p. 245-248

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抄録
穹窿部胃静脈瘤91例で, 静脈瘤出血と門脈血行動態との関連を経皮経肝門脈造影および超音波ドプラ法を用いて検討した.出血既往のない, 未治療の経過観察例38例での累積出血率は, 5年27.4%であった.胃静脈瘤出血例での門脈圧は平均318mmH2Oであり, 非出血例 (258mmH2O) に比し高値であった (p < 0.05).胃静脈瘤例では, 出血例, 非出血例共に約60%が脾門部の短絡路が静脈瘤への主要な供血路となっていた.出血例での静脈瘤供血路の血流速度は, 非出血例に比し高値を示す傾向を認めた (p=0.053).出血例では脾静脈での逆流が32.3%と, 非出血例での12.5%に比し高率であった (p < 0.05).また経過観察例でも脾静脈での逆流例では3年出血率が33.3%と, 順流例の18.6%に比し高率であった (p < 0.05).穹窿部胃静脈瘤出血に関連した血行動態上の因子として, 高い門脈圧と高度な静脈瘤血流が重要と考えられた
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© 日本門脈圧亢進症学会
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