日本門脈圧亢進症学会雑誌
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巨大脾腫を伴う肝硬変における門脈圧亢進症の治療
脾摘の効果
緒方 俊郎奥田 康司守永 暁生吉田 純安永 昌史内田 信治堀内 彦之木下 寿文
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2005 年 11 巻 3 号 p. 249-255

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抄録
我々は血小板減少を伴う巨大脾腫合併肝硬変に対して, 肝細胞癌 (肝癌) 治療, lnterferon (IFN) 治療のため, 血小板数増加を目的に脾摘を施行してきた.本研究では巨大脾腫を伴う肝硬変に対して脾摘を施行した60例において脾摘の食道胃静脈瘤, 脳症などの門脈圧亢進症に対する効果を検討した.脾摘後門脈圧は平均22mmHgより17mmHgに有意に低下し, 肝機能は術後1年で血小板数, Alb, TBil, PT, NH3が有意に改善した.食道胃静脈瘤は脾摘により74%, Hassab術にて100%改善し, 術前脳症を伴った4例も術後脳症を認めず, 2例はIFN治療, 肝癌治療が施行できた.脾摘後門脈血栓を10例 (17%) に認めたが保存的治療で対処でき, その他重篤な合併症は認めなかった.脾腫合併肝硬変に対する脾摘術は食道胃静脈瘤, 脳症などの門脈圧亢進症の治療および血小板数増加後のIFN治療, 肝癌治療を可能にした.肝硬変における脾摘は門脈圧亢進症の有効な治療と考えられた.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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