日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
肝硬変におけるterlipressinの全身および肝, 腎血行動態へ及ぼす影響
楢原 義之金沢 秀典片倉 玲樹厚川 正則滝 保彦木村 祐間宮 康貴長田 祐二中塚 雄久坂本 長逸
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 11 巻 3 号 p. 243-248

詳細
抄録
肝硬変の全身, 肝, 腎血行動態へ及ぼすterlipressinの影響を明らかにするために, 肝硬変10例にterlipressin 1mgを投与し, 肝静脈カテーテル法, 右心カテーテル法, 超音波ドプラ法を用いて検討した.Terlipressin投与により平均動脈圧と全身血管抵抗は上昇し, 心拍数と心拍出量は低下した.肝静脈圧較差は18.6mmHgから15.0mmHgへ19.4%低下し, 門脈血流量は714ml/minから482ml/minへ32.5%低下した.腎動脈resistive indexは0.74から0.69へと低下した.重篤な副作用は認めなかった.以上より, terlipressinは門脈流入血流量を減少させることにより門脈圧の低下を生むこと, 肝硬変のhyperdynamic circulationを改善すること, 腎血管抵抗を低下させることが明らかとなった.こうした作用は肝腎症候群患者にとって好ましい変化と考えられた.
著者関連情報
© 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top