食道静脈瘤に対するDiagnosis Procedure Combination (DPC) を検証し, 当センターでの現況と今後の方略を検討した.DPC上, 傷病名に食道胃静脈瘤 (ICD10コード : 1850, 1859), 肝硬変症 (K746, K703など) が登録されている食道静脈瘤治療例75例を内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL群) 56例と内視鏡的硬化療法 (EIS群) 19例, 予防例45例と出血例30例に区分し, 治療の概要と回数, 入院日数, DPCによる診療報酬点数を比較検討した.治療回数はEVL群1.9±0.7回とEIS群2.9±1.1回 (
p<0.05), 予防例1.9±0.7回と出血例2.5±1.1回 (
p<0.05), 入院日数はEVL群18.4±7.4日とEIS群22.6±10.4日 (
NS), 予防例18.9±6.8日と出血例20.3±10.4日 (
NS), 1日当たりの点数はEVL群3466.2±483.7点とEIS群3315.9±534.0点 (
NS), 予防例3418.0±410.3点と出血例3443.3±613.2点 (
NS) であった.現在のDPCの設定では治療回数3回, 入院日数20日を1入院の目安とし治療計画を行う.EVLは入院日数が短い傾向であり, クリニカルパスにも適応しやすくDPCに有利である.しかし, 治療法は血行動態や適応に則して決定すべきである.医療安全の観点から在院期間短縮を目的とした外来治療や早期退院は望ましくなく, 多数回の治療を要する場合は二期的治療として計画すべきである.医師の診療行為が反映した適正な診療報酬請求を行えるよう, 医事担当者と協議しDPCを理解し活用すべきである.
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