日本門脈圧亢進症学会雑誌
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11 巻, 3 号
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  • -最近の考え方-
    福井 博
    2005 年11 巻3 号 p. 239-242
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 楢原 義之, 金沢 秀典, 片倉 玲樹, 厚川 正則, 滝 保彦, 木村 祐, 間宮 康貴, 長田 祐二, 中塚 雄久, 坂本 長逸
    2005 年11 巻3 号 p. 243-248
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    肝硬変の全身, 肝, 腎血行動態へ及ぼすterlipressinの影響を明らかにするために, 肝硬変10例にterlipressin 1mgを投与し, 肝静脈カテーテル法, 右心カテーテル法, 超音波ドプラ法を用いて検討した.Terlipressin投与により平均動脈圧と全身血管抵抗は上昇し, 心拍数と心拍出量は低下した.肝静脈圧較差は18.6mmHgから15.0mmHgへ19.4%低下し, 門脈血流量は714ml/minから482ml/minへ32.5%低下した.腎動脈resistive indexは0.74から0.69へと低下した.重篤な副作用は認めなかった.以上より, terlipressinは門脈流入血流量を減少させることにより門脈圧の低下を生むこと, 肝硬変のhyperdynamic circulationを改善すること, 腎血管抵抗を低下させることが明らかとなった.こうした作用は肝腎症候群患者にとって好ましい変化と考えられた.
  • 脾摘の効果
    緒方 俊郎, 奥田 康司, 守永 暁生, 吉田 純, 安永 昌史, 内田 信治, 堀内 彦之, 木下 寿文
    2005 年11 巻3 号 p. 249-255
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    我々は血小板減少を伴う巨大脾腫合併肝硬変に対して, 肝細胞癌 (肝癌) 治療, lnterferon (IFN) 治療のため, 血小板数増加を目的に脾摘を施行してきた.本研究では巨大脾腫を伴う肝硬変に対して脾摘を施行した60例において脾摘の食道胃静脈瘤, 脳症などの門脈圧亢進症に対する効果を検討した.脾摘後門脈圧は平均22mmHgより17mmHgに有意に低下し, 肝機能は術後1年で血小板数, Alb, TBil, PT, NH3が有意に改善した.食道胃静脈瘤は脾摘により74%, Hassab術にて100%改善し, 術前脳症を伴った4例も術後脳症を認めず, 2例はIFN治療, 肝癌治療が施行できた.脾摘後門脈血栓を10例 (17%) に認めたが保存的治療で対処でき, その他重篤な合併症は認めなかった.脾腫合併肝硬変に対する脾摘術は食道胃静脈瘤, 脳症などの門脈圧亢進症の治療および血小板数増加後のIFN治療, 肝癌治療を可能にした.肝硬変における脾摘は門脈圧亢進症の有効な治療と考えられた.
  • 川野 陽一, 水田 耕一, 菱川 修司, 齋藤 武, 眞田 幸弘, 河原崎 秀雄, 吉田 慶之, 杉本 英治
    2005 年11 巻3 号 p. 256-261
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    小児生体肝移植において一般的に良好な成績が得られているが, 術後長期観察例が増加するとともに種々の晩期合併症が明らかとなってきている.特に晩期門脈狭窄症は, 比較的頻度の高い合併症であり, 診断, 治療時期が遅れた場合, グラフト肝不全となるだけでなく, 再移植が不可能となる可能性があるため, その早期対策は重要である.当科では, ドップラー超音波を中心とした外来での画像診断を定期的に行う診断方針により, 早期診断と早期治療を心がけている.また、低侵襲であり, 近年その有用性が報告されているInterventional radiology (IVR) によるバルーン拡張術を第一選択治療と位置づけており, 全例において開腹術を回避でき安全に施行することが可能であった.本論文では当科における晩期門脈狭窄に対する診断と治療手技, 更にCT検査による経時的な肝, 脾容積測定 (volumetry) の有用性, 抗凝固療法の工夫などについて述べた.小児肝移植後の晩期門脈狭窄症に対しては, 定期的検査による的確な早期診断, IVRなどによる適切な治療を行うことが重要である.
  • -特に再発率と生存率について-
    長田 成彦, 長岡 礼子, 小嶋 清一郎, 加川 建弘, 渡辺 勲史, 峯 徹哉, 幕内 博康
    2005 年11 巻3 号 p. 262-265
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対する内視鏡治療として, 内視鏡的硬化療法 (EIS) と内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) 後に引き続きEISを追加する地固め療法 (EVL+EIS) が現在行われている.本研究では予防的な内視鏡治療が食道静脈瘤に対する治療後の再発率と生存率に及ぼす影響を検討した.対象は1984年から2004年に東海大学付属病院に食道静脈瘤治療のために入院した25名で, その内訳はEIS20名, EVL+EIS5名であった.血液検査成績の比較では, EVL+EIS群とEIS群においては, 血小板数, 血清アルブミン値, 血清総ビリルビン値, PT%に有意差はなかった.EVL+EIS群はEIS群と比較すると再発は有意に高く, 生存率は低かった.以上より, EVL+EISは再発率, 生存率の点でEISと同等の治療効果は得られないと推定された.
  • 冨樫 弘一, 宮脇 喜一郎, 野村 悠, 金光 大石, 阿部 光将, 小林 義典
    2005 年11 巻3 号 p. 266-271
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 男性.肝性脳症の既往を有するアルコール性肝硬変患者.消化管出血を契機に肝性脳症を来し入院.精査にて上腸間膜静脈-下大静脈短絡路を指摘された.内科的治療にて脳症は改善したが高アンモニア血症は持続し, 短絡路閉鎖術を考慮した.しかし, 短絡路閉鎖に伴い門脈圧が術前160mmH2Oから400mmH2Oへ大幅に上昇した.腹水, 腸管壊死などの合併症の発現が危惧されたためバルーンカテーテルにて短絡路を持続的に閉塞, 門脈圧が高い状態で維持し, 症状の変化を観察した.術後, 腹痛などの症状出現を認めず経過し, 翌日には短絡路は血栓化した.その後, 血清アンモニア値は正常化, 脳症の再発や合併症発現はなく経過は良好である.本症例では短絡路閉鎖に伴い大幅に門脈圧が上昇したにもかかわらず, 合併症発現なく治療を遂行することが可能であった.肝性脳症に対する短絡路閉鎖術の適応を考える上で興味深い症例と考え報告する.
  • 倉谷 義智, 岩崎 信二, 並川 努, 荒木 京二郎
    2005 年11 巻3 号 p. 272-276
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    患者は64歳女性.径4cmの無症候性脾静脈瘤を指摘された2年後, 瘤内および門脈本幹, 門脈右枝, 上腸間膜静脈に及ぶ広範な血栓形成を来した.求肝性門脈側副血行路である門脈海綿状変化 (cavernomatous transformation of the portalvein : CTPV) により肝臓への血流は保たれていたが, 上腸間膜静脈閉塞により, 腸間膜静脈系短絡が骨盤内に認められ, 脾静脈閉塞により左側の側副路が発達し, 食道胃静脈瘤が急速に出現・増悪した.予防的に内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) が行われたが, その後約6カ月で再発, 破裂した.内視鏡的治療は困難であり, Hassab手術が施行された.無症候性脾静脈瘤は重篤な合併症を来す場合があり, 経過観察を行い, 合併症に対する適切な対応が必要である.
  • 瑞木 亨, 安田 是和, 細谷 好則, 永井 秀雄
    2005 年11 巻3 号 p. 277-280
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症の食道・胃静脈瘤に対する手術として, 当科では胃体上部から下部食道の血行郭清を行い, 脾を温存する術式を採用している.症例は48歳男性, HCV陽性の肝硬変で, 食道・胃静脈瘤にEVLとEISを施行されたが治療抵抗性であり, 胃腎シャントを認めずIVRの適応がないため手術を行った.術前の肝機能はChild-Pugh 5点 (Grade A), 手術では血行郭清にvessel sealing system (LigaSureTM) を使用した.手術時間は3時間5分, 出血量は浸出液込みで860mlであった.術後は合併症なく順調に経過した.食道・胃静脈瘤手術ではLigaSureTMを使用することにより危険な深部結紮が不要となり, 出血量と手術時間を低減できる.更に断端のリンパ管も血管とともにシールされることが, 術後の腹水貯留や肝不全などの合併症を防ぐ上で非常に有用と考えられるため報告する.
  • 中村 真一, 光永 篤, 白戸 泉, 大井 至, 白鳥 敬子
    2005 年11 巻3 号 p. 281-285
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対するDiagnosis Procedure Combination (DPC) を検証し, 当センターでの現況と今後の方略を検討した.DPC上, 傷病名に食道胃静脈瘤 (ICD10コード : 1850, 1859), 肝硬変症 (K746, K703など) が登録されている食道静脈瘤治療例75例を内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL群) 56例と内視鏡的硬化療法 (EIS群) 19例, 予防例45例と出血例30例に区分し, 治療の概要と回数, 入院日数, DPCによる診療報酬点数を比較検討した.治療回数はEVL群1.9±0.7回とEIS群2.9±1.1回 (p<0.05), 予防例1.9±0.7回と出血例2.5±1.1回 (p<0.05), 入院日数はEVL群18.4±7.4日とEIS群22.6±10.4日 (NS), 予防例18.9±6.8日と出血例20.3±10.4日 (NS), 1日当たりの点数はEVL群3466.2±483.7点とEIS群3315.9±534.0点 (NS), 予防例3418.0±410.3点と出血例3443.3±613.2点 (NS) であった.現在のDPCの設定では治療回数3回, 入院日数20日を1入院の目安とし治療計画を行う.EVLは入院日数が短い傾向であり, クリニカルパスにも適応しやすくDPCに有利である.しかし, 治療法は血行動態や適応に則して決定すべきである.医療安全の観点から在院期間短縮を目的とした外来治療や早期退院は望ましくなく, 多数回の治療を要する場合は二期的治療として計画すべきである.医師の診療行為が反映した適正な診療報酬請求を行えるよう, 医事担当者と協議しDPCを理解し活用すべきである.
  • 高塚 健太郎, 岩渕 省吾, 吉松 英輝
    2005 年11 巻3 号 p. 286-293
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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