抄録
42歳女性, 中学時代から18歳頃まで, 不明熱のためリウマチアレルギー科通院の既往がある.平成6年 (29歳時) に子宮筋腫の手術を受け, このとき血小板数は正常.ピルの内服, 妊娠, 出産歴はない.平成11年 (34歳時) に血小板減少を主訴として前医を受診, 肝萎縮, 脾腫を指摘された.入院のうえ精査がなされたが, 血液学的異常を認めず経過観察のみとされた.平成13年 (36歳時) に食道静脈瘤破裂による吐血があり, EIS施行.同時期に肝生検を施行され, 肝硬変は認めていない.平成17年 (40歳時) に再度食道静脈瘤に対してEVL, APCが施行された.この頃から発熱のエピソードが頻発するようになった.平成18年より当院にてフォロー開始.平成18年のCTでは, 肝外門脈血栓とcavernomatous transformationの形成が認められている.平成20年2月, 発熱, 腹痛精査のため入院したが, 全身の検索によっても明らかな感染のフォーカスは指摘できず, 絶食・補液・抗生剤投与にて速やかに症状は軽快し, 本人の希望もあり退院した.その後も外来でフォロー中だが, 半年に一度程度発熱のエピソードを繰り返している.これらの経過から, もともとはIPHの病態であったものに対し, 肝外門脈血栓症が合併したことにより病態が変化したものと推測した.若干の文献的考察を加え報告する.