日本門脈圧亢進症学会雑誌
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EVL
-臨床的に有効か-
萩原 優中野 末広小森山 広幸田中 一郎生沢 啓芳金杉 和男菅 誠富永 友也水野 博末盛 彰一鈴木 博
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1999 年 5 巻 1 号 p. 24-28

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抄録
内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) の食道静脈瘤への治療成績を分析し, 臨床的にどの程度有効であるかを検討した.対象症例は当院で経験したEVL症例102例である.EVL単独は72例, 内視鏡的硬化療法 (EIS) との併用は30例であった.方法はニューマチックデバイスを使用した.治療目標はRC (-), F1以下とした.当院で経験したEIS226例, 直達手術156例を成績の参考とした.治療成績は再発例を41例 (40%) に認めた.治療後の静脈瘤出血例は10例 (9.8%) であり, EISは11%, 直達手術は17%であった.累積生存率は1生率83%, 3生率67%, 5生率61%であり, EISはそれぞれ, 82%, 60%, 45%であり, 直達手術は81%, 69%, 60%であったが, EVLはいずれとも有意差がなかった.死亡例は26例あり, 肝不全, 肝癌死が88%であった.出血死は1例 (4%) でEISの16%, 直達手術の19%より少なかった.EVLの治療は手技は簡便で安全であるが, 欠点として再発率が高いと指摘されている.われわれの結果も再発率が41%と高度であるが, 出血例は10%で死亡例も4%であった.以上より, EVLは今後も慎重な追跡治療と経過観察が必要であるが, 静脈瘤治療に有効な方法と考える.
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