日本門脈圧亢進症学会雑誌
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High risk胃底部静脈瘤に対するballoon endoscopic sclerotherapy (BES) の有用性
松本 章夫浜本 順博萱沢 正伸森川 浩志平田 一郎勝 健一
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1999 年 5 巻 1 号 p. 29-32

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抄録
Balloon-occluded retrograde transvenous obliterationの手法を応用した内視鏡的治療手技であるballoon endoscopic sclerotherapy (BES) でhigh risk胃底部静脈瘤 (FV) を予防的に治療し, その短期的有用性を検討した.対象は1997年5月から1997年11月までに筆者らが経験した5例のhigh riskと判定されたFV患者である.全例においてBESは施行可能であり, BES中硬化剤の胃腎短絡路への流出はなく, FV内に血栓形成を認めた. FVは表面に潰瘍の形成や出血を認めることなく3症例は2カ月後に消失した.他の2症例もそれぞれ3mmへと著明に縮小した.経過観察中にFVが増大傾向を示したものや, 再発したものはなかった.胃腎短絡路は全症例で温存され, 新たなcollateral veinの発達や食道静脈瘤発生は認めなかった.経過観察期間は14~20カ月 (平均16.6カ月) であった.結論として予防的BESは有用と考えられた.
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