2000 年 6 巻 1 号 p. 7-11
われわれはRC-sign (+) までの食道静脈瘤ではEVLを併用した治療法でも比較的良好な治療成績が得られるが, RC-sign (++) 以上の例では高率に早期再発を来すことを報告してきた.今回, 超音波内視鏡 (EUS) の視点から食道静脈瘤の待期・予防的治療例に対するEVLの適応について検討した.緊急例を除く未治療食道静脈瘤40例に脱気水注入法によるEUSを施行した.食道周囲血管系 (噴門静脈叢, periesophageal plexus, paraesophageal plexus, 貫通血管) が中等度以上に発達していた28例はEIS従来法単独で, 軽度であった12例はEVLで可及的に結紮後少量の5%ethanolamineole ateを使用したEISを付加する簡便法で治療した.これら2群の3年累積非再発率はEIS単独群94.9%, EVL併用の簡便法群100%であった.EUSで治療法の選択を行ったところ, 従来早期再発が問題視されてきたEVL簡便法でもEIS単独群に匹敵する良好な長期予後が得られた.