日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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門脈圧亢進症性胃症の発症機序に関する臨床的検討
岡本 喜一郎蓮見 昭武藤田 順子杉岡 篤小森 義之宇山 一朗松井 英男曽我 良平若山 敦司大山 晃弘
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2000 年 6 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
肝硬変症性門脈圧亢進症における門脈圧亢進症性胃症 (PHG) の発症機序について, 胃粘膜の病理組織学的所見, 組織血流量, 組織ヘキソサミン量の面から臨床的に検討した.その結果, 肝硬変症性門脈圧亢進症例の胃体上部粘膜層では, 組織学的に鯵血, 粘膜内血管拡張, 間質浮腫など微小循環異常に直接関連する変化, ならびに組織血流量の減少, 組織ヘキソサミン量の低下などの病態を示し, かつこれらの変化程度とPHGの有無・程度との間に関連を認めた.したがってPHGの発症機序として, 門脈圧亢進に伴う胃壁の二次的な欝血だけでなく, 下部食道胃噴門部領域の循環亢進状態に伴って生ずる粘膜の虚血および欝血の病態, および粘液糖蛋白質合成の低下による粘膜防御機構破綻の病態なども関与している可能性が推察された.
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