日本門脈圧亢進症学会雑誌
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多発性嚢胞症による門脈圧亢進症から肝性脳症を繰り返した1例
太田 昭彦石井 俊也小林 博之小澤 政成小川 聡酒井 義浩
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2000 年 6 巻 3 号 p. 149-151

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抄録

70歳女性.昭和63年多発性嚢胞症と診断され, 以後頻回に肝性脳症のため入退院を繰り返していた.平成11年3月再度意識消失出現, 高アンモニア血症 (NH3200μg/dl), IV°の肝性脳症で入院した.腹部CTでは肝臓, 腎臓には嚢胞が多発し, ことに肝臓左葉は大小不同の嚢胞が実質をほぼ完全に置換していた.腹部血管造影像は門脈全体に枯れ枝状狭窄を示し, 左枝外側および内側は描出されず, 遠肝性の太い側副血行路があり, このシャントが肝性脳症の原因と考えられた.肝性脳症は分枝鎖アミノ酸製剤点滴および内服にて軽快した.胃・食道静脈瘤は軽度で治療対象とはならなかった.現在内照台椿にて経渦観察しているが, 脳症の出現は認めず経過良好である.

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