日本門脈圧亢進症学会雑誌
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6 巻, 3 号
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  • -造影MR angiographyを用いた検討-
    庄司 達弘, 高橋 寛, 山口 芳美, 井上 和明, 与芝 真, 藤田 力也, 大渕 真男
    2000 年 6 巻 3 号 p. 138-144
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤治療の評価方法として呼吸停止下3D造影MR angiography (造影MRA) の有用性について諸家の報告と比較検討した.対象は17例の食道静脈瘤患者で全例肝硬変であった.エタノラミンオレート (EO) の静脈瘤内注入を基本とした内視鏡的硬化療法 (EIS) を施行し, 静脈瘤穿刺が不可能となった時点で, 地固め療法に切り替えた.治療直前と治療後1カ月の時点で造影MRAを施行した.治療前の造影MRAでは供血路としての左胃静脈, 下部食道静脈瘤を同定し, 治療後の変化を評価, また再発症例との比較検討を試みた.治療中に良好な静脈瘤造影を得た症例, すなわち硬化剤が確実に注入された症例については造影MRAにおける改善度も高い傾向がみられたが, 再発の度合いと造影MRA改善度との間には明らかな関連性は見出せなかった.一方, 造影MRAで効果を認めながら, 再発した症例では, 地固め療法が不十分な傾向が認められた.造影MRAは門脈系全体を客観的に評価でき, 安全性の高い効果判定法であると考えられたが, 長期予後判定因子としては造影MRA所見だけでなく, 十分な地固め療法を施行しておくことが重要であると思われた.
  • 御江 慎一郎, 中島 公洋, 穴井 秀明
    2000 年 6 巻 3 号 p. 145-148
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    1996年7月より1999年8月までに当科において食道胃静脈瘤に対して手術療法を施行した症例について検討した.基礎疾患は肝硬変症3例, 特発性門脈圧亢進症2例で肝癌合併例は1例であった.術前の肝機能はchild分類でAが3例, cが2例, 治療適応は緊急1例, 待期3例, 予防1例であった.これらの症例は, (1) 食道静脈瘤に対してEIS抵抗性, および短期間での増悪, (2) 脾機能亢進症を伴った巨脾, および側副血行路の発達, (3) B-RTOあるいはTJO不能といった要因をいくつか兼ね備えており, 保存的治療に抵抗性であることが予想されたため長期予後, QOLを考慮し手術が妥当と判断した.手術は2例に経腹的食道離断術を, 3例にHassab手術を施行した.観察期間は484.8±433.9日 (63-1133日), 3年累積再発率は0%, 3年累積非出血率は100%であった.術後全症例で静脈瘤の消失が得られた.術前後の肝機能では血小板数, PT活性値, ヘパプラスチンテスト, ICG15分停滞率がいずれも有意に改善していた.術後116日目に肝癌死した1例を除いた4例が生存中で, 現在まで外来にて経過観察しているがいずれの症例も静脈瘤の再発を認めていない.保存的治療に抵抗性の食道胃静脈瘤は, 早期より手術療法の併用を考慮すべきであると考えられた.
  • 太田 昭彦, 石井 俊也, 小林 博之, 小澤 政成, 小川 聡, 酒井 義浩
    2000 年 6 巻 3 号 p. 149-151
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    70歳女性.昭和63年多発性嚢胞症と診断され, 以後頻回に肝性脳症のため入退院を繰り返していた.平成11年3月再度意識消失出現, 高アンモニア血症 (NH3200μg/dl), IV°の肝性脳症で入院した.腹部CTでは肝臓, 腎臓には嚢胞が多発し, ことに肝臓左葉は大小不同の嚢胞が実質をほぼ完全に置換していた.腹部血管造影像は門脈全体に枯れ枝状狭窄を示し, 左枝外側および内側は描出されず, 遠肝性の太い側副血行路があり, このシャントが肝性脳症の原因と考えられた.肝性脳症は分枝鎖アミノ酸製剤点滴および内服にて軽快した.胃・食道静脈瘤は軽度で治療対象とはならなかった.現在内照台椿にて経渦観察しているが, 脳症の出現は認めず経過良好である.
  • 馬場 俊之, 石川 晶久, 竹内 義明, 柴田 実, 西田 均, 三田村 圭二
    2000 年 6 巻 3 号 p. 152-156
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は27歳, 男性.新生児期に膀静脈炎の既往があり, 7歳時に肝外門脈閉塞症による食道静脈瘤破裂と診断され, 直達手術を受けている.24歳より消化管出血を繰り返し, 1997年5月より十二指腸静脈瘤破裂と診断され入退院を繰り返していたが, 同年12月, 十二指腸静脈瘤の再破裂にて当科に入院となった.血液検査所見では貧血を認めたが, 肝機能検査は正常であった.上部消化管内視鏡検査では十二指腸下行脚に赤色栓を伴う静脈瘤を認め, 内視鏡的静脈瘤結紮術により縮小した.各種画像検査では門脈本幹から門脈に流入する腹腔内静脈は広範に閉塞し, 海綿状血管増生を認めた.十二指腸静脈瘤の再破裂の予防のため, 側副血行路としての十二指腸静脈瘤の温存, 術中出血などの手術侵襲などを考慮し, 追加治療として薬物療法を選択した.β遮断薬と硝酸薬の併用により, 十二指腸静脈瘤破裂の頻度は低下した.一時, 解熱鎮痛剤の服用や, β遮断薬と硝酸薬の自己中止により再破裂が認められたが, その後, 定期的な服用により再破裂は認められていない.薬物療法は, 治療困難な静脈瘤には考慮すべきである.
  • 有川 卓, 大輪 芳裕, 河合 庸二, 野浪 敏明, 布目 雅稔, 中島 秀展, 鈴村 和義, 金光 泰石, 箭頭 正倫
    2000 年 6 巻 3 号 p. 157-160
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    直達手術後に慢性骨髄増殖性疾患が顕性化した肝外門脈閉塞症を経験した.症例は32歳, 女性.主訴は嘔気, 嘔吐, 黒色便.入院時現症で脾腫と眼瞼結膜の貧血を認め, 検査所見は貧血を認めるが血小板数は正常範囲で脾機能充進所見は認めなかった.骨髄検査では巨核球系細胞の過形成を認めた.精査中に胃静脈瘤よりの出血を認め, EVLにて緊急止血した.血管造影では門脈本幹と脾静脈の完全閉塞とCavernomatous transformation の形成を認めたが, 胃腎静脈シャントや脾腎静脈シャントは認めなかった.肝外門脈閉塞症による出血歴のある高度な食道胃静脈瘤と診断し直達手術を施行した.術後に血小板数が188×104/μlに達し, 脾臓での髄外造血所見も認め, 特発性血小板増加症と判断し, Hydroxyurea (HU) 等を投与し血小板数は改善, 退院した.現在まで静脈瘤の再発は認めず, HUの内服を継続し経過観察中である.
  • 佐々木 剛, 鈴木 正徳, 海野 倫明, 遠藤 公人, 片寄 友, 松野 正紀, 小熊 徹彦, 菊池 淳
    2000 年 6 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性.繰り返す下血で発症し, 血管造影で小腸静脈瘤の存在を確認したため, 門脈圧亢進症に伴う小腸静脈瘤破綻からの消化管出血と診断した.門脈圧減圧を目的に経皮的肝内門脈肝静脈短絡術 (TIPS) を施行したところ, 約8カ月後に臨床所見ならびに診断画像上, 小腸静脈瘤の消退が認められた.肝硬変に合併した小腸静脈瘤からの消化管出血に対する効果的な治療法は未だ確立されてはいないが, 出血量の減少と重篤な状態への移行を阻止し, 全身状態のすみやかな改善を図る必要がある.Firstchoiceとして低侵襲性治療であるTIPSを門脈圧の減圧を目的に選択し, 奏効した症例を中心に本疾患の治療体系を考えたい.
  • 辻上 幸司, 岡村 誠介, 市川 壮一, 面家 敏宏, 板東 輝美, 多田津 昌也, 大喜田 義雄, 筒井 朱美, 六車 直樹, 柴田 啓志 ...
    2000 年 6 巻 3 号 p. 166-169
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性および70歳男性.2例とも以前より下部食道に孤立性静脈瘤 (SoV) を認めていたが, 増大傾向と表面にRCsign様の発赤を認めたため当科紹介となった.2例とも, 食道静脈瘤の原因となる基礎疾患は認めず, 通常および赤外線内視鏡, 超音波内視鏡, 腹部血管造影にて, SoVに明らかな流入血管は認められなかった.しかし2例とも患者の強い希望があり, SoV表面にRCsign様の発赤を認めたため内視鏡的静脈瘤結紮術を施行, うち1例では結紮後切除した.切除標本の病理組織学的検査では粘膜下層に著明に拡張した静脈を認めたが, 腫瘍性の変化は認められなかった.出血などの合併症は認められず, 現在までのところ再発も認めていない.
  • 堀 剛, 加藤 順也, 坪内 博仁
    2000 年 6 巻 3 号 p. 170-171
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    胃噴門部静脈瘤出血は比較的高頻度であるとされているが, その出血の予測に関する報告はされていない.今回われわれは, 胃噴門部静脈瘤 (Lg-c) 出血症例に対して, 内視鏡検査および超音波内視鏡検査を施行しretrospectiveに出血に関与する因子の検討を行った.出血前に内視鏡検査を施行されていた9例中5例では静脈瘤上の発赤所見を認めず, 発赤所見のみで出血の予測を行うことは困難であった.超音波内視鏡検査を用いて, 静脈瘤内腔より粘膜表層までの厚さ (表皮厚) と静脈瘤最大径を測定した.出血症例 (15例) は非出血症例 (22例) に比して表皮厚が有意に菲薄化していたが, 両群間において血管最大径の差はなかった.さらに非出血例において形態の増悪に伴い表皮厚が菲薄化する傾向にあった.以上より超音波内視鏡検査による静脈瘤上の表皮の菲薄化が胃噴門部静脈瘤出血の予測因子となる可能性が示唆された.
  • 2000 年 6 巻 3 号 p. 172-185
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 6 巻 3 号 p. 187-197
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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