日本門脈圧亢進症学会雑誌
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食道静脈瘤合併胃癌に対する外科治療成績の検討
吉田 範敏飯田 義人高森 繁児島 邦明深澤 正樹別府 倫兄二川 俊二
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2000 年 6 巻 4 号 p. 222-226

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抄録
近年, 食道静脈瘤症例の集積に伴い, 食道静脈瘤を合併した胃癌症例を経験する機会も増加している.今回われわれは, 過去19年間に当教室で経験した13例と本邦報告例84例, 計97例ついて, 治療法および問題点について検討した.教室においては食道静脈瘤の再発は胃全摘+脾摘+腹部食道血行遮断術を施行した症例では22.2% (2/9) のみであった.幽門側胃切除術+EISを施行した症例は100% (2/2), 術後静脈瘤の再発を認めた.門脈圧充進症例に胃癌を合併した場合の術式選択には, 胃癌の進行度とともに, 肝障害の程度, 食道胃静脈瘤の程度をよく把握することが肝要である.肝機能が良好である場合, 胃全摘+脾摘+腹部食道血行遮断術が最も有効であったが, L領域占居胃癌で肝障害が強い場合には, 幽門側胃切除術にとどめ, 脾摘も併施せず, 静脈瘤に対しては内視鏡的硬化療法 (EIS) による追加治療を行うのが有効であると考えられた.
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