日本門脈圧亢進症学会雑誌
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門脈圧亢進症の治療に手術の役割はあるのか?
大舘 敬一遠藤 徹金子 英彰今村 智石井 利昌
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2000 年 6 巻 4 号 p. 227-231

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抄録
筆者らは食道・胃静脈瘤治療に対して, 1982年に内視鏡的治療の導入後, 内視鏡的治療を第一選択としてきた.内視鏡的治療が広まっている現在, 手術の役割について検討した.対象は1982年5月から2000年3月まで内視鏡的治療を行った288例である.静脈瘤関連の手術既往は食道離断術が7例, Hassab手術が2例にみられた.胃静脈瘤の待期・緊急例では食道静脈瘤の待期・緊急例より手術付加必要例と静脈瘤の再出血例を多く認めた (p<0.05).288例の内視鏡的治療無効例は, 手術付加4例, 静脈瘤再出血死7例, 潰瘍穿孔死1例, 食道穿孔死1例の13例で, 275例 (95.5%) で内視鏡的治療は有効であった.難治性胃静脈瘤に対する早期手術と, 内視鏡的治療が本来適応外である局所性門脈圧亢進症に対する手術を考慮する必要がある.
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