日本門脈圧亢進症学会雑誌
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左側門脈圧亢進症による胃静脈瘤出血をきたした3例の治療経験
松本 敏文其田 和也甲斐 成一郎武内 裕荒巻 政憲板東 登志雄川野 克則北野 正剛
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2001 年 7 巻 3 号 p. 158-162

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抄録

症例1は52歳男性.アルコール性慢性膵炎による左側門脈圧亢進症で胃静脈瘤出血を認めた.硬化療法にて一時止血した後, 膵体尾部切除・脾臓摘出術および胃上部大弯血行郭清を行った.症例2は38歳男性.アルコール性慢性膵炎による左側門脈圧亢進症で胃体上部大弯側の胃静脈瘤出血を認めた.待期的に脾臓摘出術および胃大弯血行郭清を施行し胃静脈瘤の消失を認めた.症例3は61歳女性.膵頭部癌にて膵頭十二指腸切除・門脈合併切除術を施行した.術後4カ月めに胃空腸吻合部に静脈瘤出血を認め, 部分的脾動脈塞栓療法 (PSE) を施行し静脈瘤は消失した.当科で経験した左側門脈圧亢進症により胃静脈瘤出血例をきたし治療しえた3症例を報告した.本疾患による静脈瘤出血の治療には手術療法が有用で, 長期予後が望めない症例にはPSEも選択肢の1つになりうると考えられた.

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